経済産業省は3月16日、2005年末時点の主要石油化学製品の生産能力調査結果を発表した。
主要石油化学製品生産能力 単位:千トン/年)
製 品 名 | 04/12月末 | 05/12月末 | |
エチレン |
7,232 |
7,232 | |
LDPE |
2,329 |
2,326 | |
HDPE |
1,286 |
1,286 | |
PP |
3,090 |
3,148 | |
EO |
944 |
953 | |
SM |
3,320 |
3,310 | |
PS(GP,HI) |
1,016 |
1,016 | |
VCM |
3,042 |
3,484 | |
PVC |
2,340 |
2,340 | |
AA |
430 |
429 | |
ANM |
777 |
718 | |
合成ゴム (ソリッド) |
SBR |
602 |
602 |
B R |
285 |
285 | |
I R |
97 |
81 | |
MMAモノマー |
547 |
547 |
※各設備とも定修を実施する場合の年間生産能力
石油化学製品で前年末より能力が増加したのはPP、EO、VCMの3品目だけで、特にVCMの増加が目立つ。
東ソーが397千トン、ヴイテックが44千トン増加している。
ヴイテックは三菱化学・水島工場の5万トン(35万→40万トン)の手直し増設だが、東ソーは南陽事業所に40万トンを新設したものである。同社では更にこれを60万トンに引き上げる。
2005年の日本のVCM需給をみると、能力は年末に3,484千トンに増加している。
それに対して国内PVC用その他は1,479千トンと増加後能力の42%に過ぎない。輸出PVC向けが714千トン、VCM輸出が652千トンと、輸出用が1,366千トンを占めている。(添付グラフ参照)
昨日の記事の中国の状況をみると、PVC、VCMともに今後の大量の輸出は期待できず、大減産の可能性も考えられ、エチレンへの影響も大きい。
東ソーはビニル・イソシアネート・チェーンの拡大戦略をとっている。
ビニルチェーンから、イソシアネートの原料である塩素、苛性ソーダ、及びユーティリティを日本ポリウレタン工業に供給、同社で副生される塩酸は当社の塩ビモノマー原料として回収・利用する。
図は東ソー発表資料だが、第2期増強計画として510億円を投じて、自家発電、電解を増強し、VCMを合計148万トンに、PVCを海外子会社を含めて117万トンにする。
なお、この後、VCMを60万トンにするとともに、アニリンを倍増して30万トンに、日本ポリウレタンのMDIを倍増して40万トンにすることを決めた。(日本経済新聞 2006/4/4)
VCMについては、「中国・広州市のPVC新工場建設やフィリピンのフィリピン・レジンズ・インダストリーズの増設計画など、グループ内PVC新増設プラントへの原料VCMの全量供給を図るとともに、中国、東南アジア等のPVC増強計画進展に伴うVCM需要の伸びに対応した外販を実施」するためのもの。(東ソー発表から)
数年前には中国のPVC需要は伸びるとともに、環境上問題のあるカーバイド・アセチレン法は禁止されるとみられていた。
中国のPVC能力が需要以上に伸びた上、全能力の約70%がカーバイド法となったのは全くの誤算であったのであろう。中国でPVCが余剰となると東南アジア等のPVC増強計画も怪しくなる。
しかしながら、PVCの国内需要の増大を期待してなら別だが、いかに「自家発電、港湾設備といった強力なインフラがある」といえ、日本でナフサと工業塩を輸入し、生産した製品全て(VCM・PVCと苛性ソーダ)を輸出するという構想が、そもそも正解であったのであろうか。
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本ブログの2-3月のバックナンバーを以下に見易くまとめました。
都合によりアドレスを変更しました。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm
中国PVC供給は、カ-バイド法により、供給過剰になって、東ソ-の思惑とは大分ずれてきているのでしょうね。Luckyさんもコメントしてましたが、賭け、に近いものがありそうですね。ただ、自分たちの強みを生かすしかない、南陽のインフラ、ビニルチェ-ン、を強化するしかない、との判断でしょう。VCMなどを輸出??アジアPVCの市場での競争は、先行き、ちょっと心配です。国内内需の拡大は、どこまで期待できるでしょうか?
日本最大のC2のバイヤ-、Good Luck !