本年1月に中海シェル石油化学(CNOOC and Shell Petrochemicals Company)が商業生産を開始した。(3/31 現地で竣工式)
昨年3月にスタートしたBPのJV・上海SECCO石油化工(Shanghai SECCO Petrochemical Company )、5月にスタートしたBASF-YPC Company に次ぐ3番目の外資JVのエチレンセンターである。
更に、エクソン、アラムコの参加する福建石化計画が建設中である。また、天津のSINOPECの100万トン・エチレン計画にSABICが参加するとの噂もある。
上海SECCOのあるShanghai Chemical Industrial Park (SCIP)にはBayerやBASFが大規模に事業を展開している。
日本の企業が主として中国の市場用にサウジやシンガポールに大規模投資をしているが、中国本土への投資は三菱化学のPTA等を除いて大きな投資がないのと対照的である。
この分析は後にして、まず、各社の進出状況をみよう。
1.上海SECCO石油化工(Shanghai SECCO Petrochemical Company )
上海SECCOはBP 50%/SINOPEC 30%/SINOPEC上海石化 20%のJVで、ソウケイ(Caojing)地区のShanghai Chemical Industrial Parkに立地する。
BPはオレフィンと誘導品をInnoveneとして分離し、その後、Ineosに売却したが、中国でSINOPECとの間で2つの酢酸JV(重慶のYarco Acetyls、南京のBP YPC Acetyls Company (Nanjing) Ltd.) をもつ関係で、本JVはBPに残した。
原料はナフサで製品は以下の通り。2005年3月にスタートした。
上海には3つの石化センターがある。
1)SINOPEC上海石化(金山)はエチレン 850千トンのコンプレックス。
2)SINOPEC上海高橋石化(Shanghai Gaoqiao Company)は石油製品のほか、Polybutadiene Rubber、Phenol & Ketone、AS 樹脂を生産。
3)Shanghai Chemical Industrial Parkは新しく埋め立てた広大な化学基地で、上海SECCOのほかにBayerやBASFを初め、多くの企業が進出している。更に上海SECCOに隣接して、SINOPECがリファイナリー10百万トンとエチレン100万トンのコンプレックスを計画中である。
上海ケミカルパークの誘導品計画と立地計画(SCIP資料から)は添付の通りで、三菱ガス化学が過酸化水素、東京化成工業が試薬、試剤で進出している。三井化学が2006年4月にビスフェノールAのJVを設立する。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/china-scip.htm
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2.BASF-YPC Company Limited
BASF-YPCはBASF 50%/SINOPEC 50%のJVで、江蘇省南京市のSINOPEC揚子石化(エチレン 650千トン)に隣接している。
2005年5月にスタートした。
エチレン能力は600千トンで、以下の誘導品をもっている。
製品 | 千トン |
エチレン | 600 |
エチレングリコール | 300 |
LDPE | 400 |
アクリル酸 | 160 |
アクリル酸エステル | 215 |
C4オキソアルコール | 250 |
蟻酸 | 50 |
プロピオン酸 | 30 |
メチルアミン | 30 |
ジメチルホルムアミド(DMF) | 40 |
このうち、アクリル酸及びアクリル酸エステルとオキソアルコールはTECが受注している。
隣にはBASFとSINOPECのJVのYangzi-BASF Styrenics (SM、PS、EPS)がある。
なお、BASFは上記の通り、上海ケミカルパークにもハンツマン等とのJVのイソシアネートコンプレックスやポリウレタン繊維原料のP-THFプラントをもっている。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/china-scip.htm
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