ブラジル最大の石油化学会社ブラスケムは5日、同社が35%出資するPEの合弁会社ポリテーノを、住友化学などの他株主の持株を買い取って100%子会社にしたと発表した。
ブラスケムは2003年には三菱化学等からHDPE、PVCの合弁会社の持株を買い取っており、これで日本の合成樹脂はブラジルから撤退することとなる。
1970年代央にブラジル政府はブラジル東北部カマサリ地区に石化コンビナート建設を計画、日本を含めて各企業に協力を要請した。
住友化学はLDPE事業で資本・技術の両面で参加することとなり、1974年9月、ポリテーノ(Politeno Industria e Comercio S.A.) が設立された。住化が20%、伊藤忠が10%出資、住化のベッセル式LDPE技術により1978年に100千トンプラントを建設した。
その後、ポリテーノは1992年にデュポン・カナダから技術導入してLLDPE/HDPE を建設した。現在、前者の能力は150千トン、後者は210千トンとなっている。
三菱化成(当時)は日商岩井(当時)とともに2つの事業でこれに参加した。
第一はHDPE事業で、1974年に三菱化成 16.4%、日商岩井 16.7%出資で地元企業と合弁でポリアルデン・ペトロキミカを設立、第二はPVC事業で、1975年に三菱化成 19.0%、日商岩井 14.3%で同じく CPC社を設立した。
なお、両社はこれに先立ち、1969年に可塑剤製造販売のJVのシキネ・ペトロキミカを設立している。(同社は2001年にメインの株主の政府が入札を行い、Elekeiroz 社に売却した。)
CPCは1996年末にCPC株主のオデブレヒトが中心のEDCメーカーのサルジェマと合併してトリケム社となり、電解からPVCまでの一貫体制となった。なおCPCはAlagoas地区でも三菱化成技術でPVCプラントを建設した。
ブラジルでは2001年に政府はカマサリ石油化学コンビナートのエチレンJVのコペネ社のエコノミコ財団の持株の売却を決めたが、これをオデブレヒト/マリアニ両社グループが購入し、ブラスケムを設立した。
それまでは各誘導品会社は、政府や国営ペトロブラス傘下の石化会社ペトリキザ、各石化会社などが参加するJVであったが、両グループは誘導品会社の他社持ち分の買収を行い、ブラスケムへの吸収を始めた。
2003年にブラスケムは三菱化学、日商岩井からポリアルデンとトリケムの持株を買収(日商岩井はブラスケム株式と交換)し、他の誘導品会社のProppet(PET)、OPP Petroquimica(PE)、Nitrocarbono(カプロラクタム)、及びエチレンのCopeneを吸収した。
今回、残るポリテーノの株式を住化、伊藤忠および競争相手のスザノ社から買収したもの。
現在、ブラスケムはカマサリでエチレンからPE、PVC、PET、ラクタムの一貫生産のほか、AlagoasとSao PauloでPVC、TriunfoでPE、PPを生産している。
ブラジルには現在4つのエチレン会社がある。添付図の如く、ブラスケムのカマサリ(1,340千トン)以外はすべてJVである。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/brazil-kanren.htm
Copesul (1,135千トン)はブラジル最初のエチレンセンターでTriunfoにある。1992年に民営化され、現在はブラスケムが29.46%、Ipiranga(Ipirangaグループとヘキスト、ペトロキザのJVから後2社が離脱)が29.46%、ペトロキザが15.63%出資している。
PQU(500千トン)は1966年に設立された。現在の株主はペトロキザが17.5%、Uniparが37.2%、スザノが6.8%など。
Riopol (520千トン)は1996年にリオのガス/石化コンプレックス建設のために設立されたJVで、スザノとUnipar が各33.33%、ペトロキザとBNDESPAR(ブラジル開発銀行子会社)が各16.66%を所有している。2005年6月にスタートした。
ブラスケムと競合するスザノ社はBasellとのJVのPP会社 PolibrasilのBasell 持株を買収し吸収合併している。
なお、ブラスケムはヴェネズエラの国営石油会社PDVSAの石化子会社Pequivenとの50/50JVで、ヴェネズエラに天然ガス原料の120万トンのエチレンコンプレックス建設のFSを実施すると発表した。2010年末までにスタートさせたいとしている。
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