総合化学大手 連結決算対比

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総合化学大手6社(昭和電工は12月決算)が出揃った。

別紙(クリックしてください)に各社の売上高、営業損益、経常損益、当期損益を3期比較で対比した。
三菱化学は2005年下期より三菱ケミカルホールディングスとなった。2005年上期までは三菱化学の連結決算数値を使用している。

昨年度は各社とも前年比増益となったが、本年度は会社により差が出た。
連結営業損益、
経常損益でみると、三菱化学と三井化学、東ソーが前年比マイナスとなっている。(旭化成は経理処理による減)
逆に住友化学はいずれも大幅増となった。

中国で増設が相次いでいる合繊原料やVCM、PVCで市況が軟化しており、これらの製品で早くも影響が出始めている。今後はポリオレフィンなどについても影響が出るであろう。

各社の決算は以下の通り。(単位:百万円)

三菱化学

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
04/3 1,925,331   98,163   82,613   34,547
05/3 2,189,462  148,624  148,069   55,372
06/3 2,408,945  133,619  143,575   85,569
増減  219,483  -15,005   -4,494   30,197

営業損益、経常損益が前期比マイナスなのに当期損益がプラスなのは、特別損失(ネット)が前期 -41,465 に対して当期が -28,505 と減少しているためである。Mitubishieigyo_1  

 

 

三菱化学では石化部門の営業損益が大幅減となった。同社の石化部門は基礎石化製品、化成品、合成樹脂、合成繊維原料などを含んでいるが、同社では「海外ではスチレンモノマー、エチレングリコール、テレフタル酸等の市況が弱含みで推移した」としている。アジア(日本を除く)の営業損益が減少している。

三菱化学は最近、シェルのシンガポールからのSMの引取権の解消に向け交渉中であることを明らかにした。PO/SMのJVの持株譲渡と交換に年間380千トン分の引取り権を得ているが、原料価格高騰を受けスプレッドが悪化、将来的にも収益改善が見込めないと判断したもの。

なお、三菱化学主導のPE、PP、PVC統合会社(12月決算)の業績(百万円)は以下の通り。各社とも好調。

日本ポリエチレン 2003/9スタート
(日本ポリケム=三菱化学50%、日本ポリオレフィン=昭電/新日石化学42%、三菱商事プラスチック8%)

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
04/12  115,760   2,840   2,213    310
05/12  131,550   7,470   7,019   1,616

日本ポリプロ 2003/10スタート
(日本ポリケム=三菱化学
65%、チッソ 35%)

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
04/12  138,037   5,156   4,661   2,814
05/12  156,028   5,584   5,242   2,533

ヴイテック
三菱化学 85.1%、東亞合成 14.9%

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
03/12  26,937  - 3,375   - 3,564   - 3,557
04/12  33,184    954    765    765
05/12  35,670   1,510   1,318   1,282

* 2005/12月末のヴイテックの累積損益は-14,173百万円

なお、三菱化学は2005年下期から三菱ケミカルホールディングスとなった。
単独決算では期末は8円配当となっているが、三菱化学株主には1株について0.5株の割当のため、実質的には4円配当となる。

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旭化成

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
04/3 1,253,534   60,932   53,643   27,672
05/3 1,377,697  115,809  112,876   56,454
06/3 1,498,620  108,726  104,166   59,668
増減  120,923   -7,083   -8,710    3,214

Asahieigyo 同社は退職給付会計における数理計算上の差異を、発生の翌期の1年間で営業費用として処理する方法を採用している。
これが前期は202億円の益、当期は40億円の益となっており、当期は前期比では162億円の減益となる。
これを除くと
実質的には営業損益は91億円の増益である。

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住友化学

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
04/3 1,158,402   66,620   66,328    34,318
05/3 1,296,315   105,182   123,476   64,452
06/3 1,556,606   120,790   141,127   90,665
増減  260,291    15,608   17,651   26,213

Sumikaeigyo 連結売上高、営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも過去最高を大幅更新した。

同社の石油化学、基礎化学とも増益となっている。基礎原料ではナイロン原料のカプロラクタムが好調。
また地域別にもアジアの営業損益は前年の238億円に対し334億円と増加している。

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三井化学

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
04/3 1,089,518   53,942   47,694   12,466
05/3 1,227,547   80,491   79,737   26,192
06/3 1,472,435   58,705   61,989   44,125
増減  244,888  - 21,786  - 17,748   17,933

Mituieigyo_1

ナフサなどの原燃料価格高騰などにより売上原価が大きく増加し、前期に比べ218 億円減となった。主力の合成繊維原料の市況が弱含んだうえ、合成樹脂の価格転嫁の遅れも響いたとしている。(但し、上記の通り三菱化学の樹脂子会社は増益となっている)
*石化では変動費アップで-572億円に対し、値上げは439億円で差し引き-133億円
  基礎では変動費アップで-513億円に対し、値上げは401億円で差し引き-112億円
ポリオレフィンについてはプライムポリマーの設立に伴い、出光興産分の売り上げが増加した。

なお、有形固定資産の減価償却の方法は、従来定額法を採用していたが、当期より建物を除く有形固定資産について主として定率法に変
更した。これにより減価償却費は59億円増加し、営業利益、経常利益も同額減少している。

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昭和電工(12月決算)

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
03/12  689,366  38,546  23,840  10,317
04/12  740,706  52,071  38,912   7,596
05/12  811,899  57,191  46,960  15,647
増減   71,193   5,120   8,048   8,051

Shodeneigyo 同社の電子・情報部門はハードディスク、化合物半導体、レアアース磁石合金、その他で、大幅増益となった。
石油化学はオレフィンと有機化学品(酢酸、酢酸ビニル、酢酸エチル等)が中心で、
日本ポリオレフィンのPE事業は2003/9に日本ポリエチレンとなり、連結会社でなくなった。

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東ソー

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
04/3  484,388  30,054  25,372   7,296
05/3  588,331  56,898  55,757  29,533
06/3  648,810  47,459  49,731  27,532
増減   60,479  -9,439  -6,026  -2,001

Shodeneigyo_1 東ソーでは基礎原料(苛性ソーダ、塩化ビニルモノマー、塩化ビニル樹脂、無機・有機化学品、セメント等)の営業損益が激減している。
同社ではVCM及びPVCで、国内価格の値上げは浸透したが、海外市況は中国の需給緩和により軟化したとしている。

 

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