前回、中国石油天然ガス(CNPC)のカザフスタン進出に触れた。同社はこのほか、ベネズエラやスーダンで大型油田を開発している。
最近の中国の石油会社の海外の石油権益を求めての動きは激しい。
中国海洋石油(CNOOC)は米国のユノカルの買収に動き、これは議会の反対で頓挫したが、2005年4月にカナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を1億5千万カナダドルで買収した。シノペック(中国石油化工集団) も2005年6月にカナダのアルバータ州ノーザンライツでのオイルサンド事業の権益の40%を1億5千万カナダドルで買収し、オイルサンド事業に参入した。
シノペックは 2004年にイラン政府との間で、今後30年間にわたり石油・天然ガスの供給を受けることで合意し、総額で700億ドルの契約の覚書に調印した。シノペックが今後30年間にわたり毎年2億5千万トンの液化天然ガスを購入するほか、イランのヤダバラン油田の開発権を得るというもので、同油田の開発が成功した場合、中国側は25年間にわたって、毎日15万バレルの原油の供給を受けることでも合意している。
なお、このヤダバラン油田は、国際石油が権益をもつ日本の自主開発油田として最大級となるアザデガン油田に隣接している。同油田の権益は国際石油が75%、イラン側が25%となっている。
イランの核開発疑惑の関連で日本はアザデガン油田開発について米国からの圧力を受けているが、中国は積極的で、「米国が反対するのなら代わりの原油を供給せよ」としている。
両油田は「地下ではつながっている」との説もあり、中国による開発が進むと、 アザデガン油田から原油を 吸い上げられる可能性さえあるという。
(日本側の開発担当の国際石油開発帝石HDによると、現在はアザデガン油田の地雷除去が86%終わった段階とのこと)
シノペックはまた、サハリン3のうち、Venin鉱区の25.1%の権益をロシア国営石油会社のロスネフチから取得した。中国企業がロシア国内のエネルギー案件に参加するのは初めて。
シノペック傘下の雲南石油探査局とミャンマー国営石油・ガス公社は、ミャンマーでの石油・天然ガス探査共同事業を開始した。
これが成功した場合には「ミャンマー-雲南-重慶原油パイプライン構想」が実現する可能性があるとされる。ミャンマーのSittweから雲南省・昆明市まで原油パイプラインを建設し、その後昆明から重慶市まで延長するというもので、重慶市政府とシノペックにより、2004年末に国務院に提出されている。中国の輸入原油の約8割は、現在マラッカ海峡を経由しているが、このパイプラインが完成すれば、中国は中東原油の輸入ルートを複数持つこととなる。
中国は急増するエネルギー需要に対応するためアフリカと関係強化を進めており、胡錦濤国家主席の今年のナイジェリア訪問の際、油田開発に関する協定に調印し、探査事業や製油所の整備などで協力することで合意している。中国海洋石油は今年初め、ナイジェリア南部の海底油田の権益を20億ドル以上で買収、中国石油天然気はナイジェリアの製油所の買収交渉を進めている。
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