5月30日、東洋エンジニアリングはインド向け大型エチレン設備をインドのエンジニアリング会社と連合で受注したと発表した。
発注元はインド国営石油会社(IOCL)で、ハリアナ州パニパットのパニパット製油所(原油処理能力・年間 600万トン)の隣接地にエチレン・コンプレックスを建設するもので、このうち、年産800千トンエチレン製造設備(ナフサ・ベース)を受注したもの。
本設備はインド最大かつ北インド初のエチレン製造設備で、IOCLが建設する初のエチレンプラントである。
IOCLは2004年6月にハリアナ州政府との間で、エチレンコンプレックス建設の覚書を締結、本年4月に州政府産業開発公社との間で計画遂行のためのJV設立の覚書を締結した。出資比率等の詳細は未定。
計画ではエチレン800千トンをベースに、HDPE、PP、MEGを建設する。
IOCLは別途、同地で2006年稼動予定でナフサを原料にPX 360千トンとPTA 553千トンのPTAプラントを建設中だが、JVではこれを原料にPET樹脂を製造することも検討する。
エチレン技術はABBルーマスで、HDPE/LLDPE(350千トン)についてはNOVA技術が選ばれている。
EGについては当初 IOCLはダウ技術を選択した。
ダウはUCCを吸収合併しているが、UCCはボパールで有毒ガス流出で3000人以上が死亡、被害者15-16万人という世界最悪の化学工場事故を起こした企業であり、当時のCEOのアンダーソンが殺人事件の主犯とされたが、法廷での審理に出席せず、国外逃亡という状況が続いている。
しかし、ダウが本技術はダウが独自に開発したものと説明したため、IOCLはダウ技術の採用を決め、国民の間から"Don't fill your car with Bhopali blood" としてIOCLのガソリンの不買運動が起こっていた。
反対運動家がこの技術がUCC技術であることを見つけ出し、IOCLと政府に伝えた結果、IOCLは2005年にダウとの契約を破棄したことを明らかにしている。
付記 2007/1/25
Foster Wheeler は25日、インド国営のインド石油(IOCL)の Paradip製油所計画の基本設計等をj受注したと発表した。
インドの東海岸の新しい製油所は原油処理能力 15百万トンで、芳香族とPPのプラントを含んでいる。能力は石油製品 1050万トン、PP 70万トン、TPA 120万トン、SMが60万トンとなっている。
今回の契約にはParadipの第二期のナフサクラッカー計画の詳細FSの実施も含まれている。
計画では、エチレン能力100万トンで、HDPE、LLDPE、PP(増設)、MEG等を建設する。
インドの既存エチレンセンターは4つの州にある。
州 | 会社名 | 場所 | 原料 | 能力 (千トン) |
GUJARAT | Indian Petrochemicals (IPCL) | Vadodara | Naphtha | 130 |
Reliance(RIL) | Hazira | Naphtha/ NGL | 750 | |
Indian Petrochemicals (IPCL) | Gandhar | Gas | 300 | |
MAHARASTRA | OSWAL Agro | Mumbai | Naphtha | 23 |
National Organic Chemical (NOCIL) | Thane-Belapur | Naphtha | 63 | |
Indian Petrochemicals (IPCL) | Nagothane | Gas | 400 | |
UTTER PRADESH | Gas Authority of India (GAIL) | Auraiya | Gas | 300 |
WEST BENGAL | Haldia Petrochemicals | Haldia | Naphtha | 466 |
合計 | 2,432 |
今回は初めて北インドのハリアナ州に建設される。
またGAILは先日、インド北東部でブータンと国境を接しているアッサム州でのガスクラッカー計画を発表した。
GAILが70%、Oil India、Numaligarh Refinery、州政府がそれぞれ10%ずつ出資のJVを設立し、ガスとナフサを原料に、エチレン220千トン、プロピレン60千トン、HDPE/LLDPE220千トン、PP60千トンなどを生産する。
GAILは昨年秋に、中国陝西省の陝西華山化工との間で、同地の豊富な石炭を利用し、石炭ガス化によるポリオレフィンその他の製造のFSを行う覚書を締結した。最終的には製造と販売のJVを設立する。SINOPECがシェルの石炭ガス化技術を使ってアンモニアを製造しているが、GAILに対して石炭ガス化の技術面で協力する意向を示している。
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