南ア・サソールの石炭液化技術

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Sasol は1950年に南アフリカ政府により South African Coal Oil and Gas Corporationとして設立された。南アには石油がなく、アパルトハイト政策により欧米各国から石油の禁輸制裁を受けていたため、豊富にある低品質石炭から石油をつくるのが目的であった。

同社の技術は間接法石炭液化技術で、石炭(又は天然ガス)をSyngasに転換した上で、Fischer-Tropsch反応で燃料や化学原料に変換するものである。

同社の技術は添付の通り。触媒により製品がかわる。(同社の発表より)
Sasolft

同社は本国で石炭及び天然ガスを原料に商業生産(石炭では世界唯一)をしているほか、世界各地で天然ガス又は石炭を原料に建設又は検討を行っている。Sasol11

カタールでは本年6月にカタール国営石油とサソールの51/49JVのオリックス・GTLが液体燃料GTLの生産を開始した。カタール北部の天然ガス施設集積地区ラスラファンにプラントを建設、生産能力は日量34千バレルで、数年以内に同10万バレルを追加する。これにはサソールとシェブロンのJVのサソール・シェブロンが参加する。
(カタールではほかに、シェル、エクソンモービルがGTLを計画している)

現在の同社の事業は多岐にわたっている。

Oil & gas
Sasol Mining    南アの炭鉱での採掘
Sasol Synfuels   南アSecunda工場で石炭及び天然ガス原料のSyngasを石油製品、化学品原料に転換
Sasols liquid fuels business   燃料、潤滑油の製造販売
       
Chemical
Sasol Olefins & Surfactants   界面活性剤、中間体、原料の事業
2001年にドイツの
RWE-DEAからCONDEA Vistaを買収した。
◎ Sasolは昨年、本事業の売却を検討していると発表した。
Sasol Nitro   アンモニア、硫酸をはじめ、火薬、肥料等
Sasol Wax   Wax
Sasol Polymers   Sasolburg 及び Secunda工場で、
エチレン、プロピレン、
LDPELLDPEPPPVC、クロルアルカリ等を生産
Sasol Solvents   Blends & Hydrocarbons, C3/C4 Alcohols, Esters & Acids, Ethanol, Fine Chemicals,
Glycol Ethers, Ketones,
 Methanol, Mining Chemicals,
Acrylic Acid & Acrylates (
三菱化学とのJV)
Maleic Anhydride (Huntsman
とのJV)
Merisol   MerichemとのJV
 Cresols, Xylenols, Alkylphenols, other phenolics.
1997年に住友化学は同社と50/50JV 住化メリゾールを設立(大分工場でメタパラクレゾール製造)。
また2001年に南アでオルソクレゾールノボラックを製造する住化80%出資の合弁会社、住化メリゾール RSA(Pty)Ltd を設立した。(後者はその後、台湾企業に持分売却)

Acrylic Acid & Acrylates (三菱化学とのJV) については 2006/4/24 「アクリル酸業界参照

2001年10月の発表で三菱化学は次のように述べている。
「このたびアクリル酸及びアクリル酸エステル事業において、Sasol社の供給する最先端の独自の石炭液化技術により得られる石炭ベースのプロピレン及びエタノール並びに当社技術により生産されるノルマルブタノールの競争力ある安価な原料と、当社の世界的競争力をもつアクリル酸及びアクリル酸エステルの製造技術を組み合わせ、世界的な提携関係を構築することで合意いたしました。」

 

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