中国石炭工業協会の範維唐会長は2005年11月、中国は2010年には、石炭のオイルへの転化、石炭ガス化を含めた石炭転化製品の生産高500万トンの実現を目指していることを明らかにした。
中国は「第11次五カ年計画」期に炭鉱の機械化生産を全面的に推し進めることになっている。
2010年には、大・中型炭鉱の機械化レベルを85%以上に引き上げ、技術改造を通じて、300以上の高生産量、高効率の炭鉱を作り上げる。豊富な石炭を原料に石炭化学を推進する。
現在実施又は計画段階の石炭化学プロジェクトの例は以下の通り。
神華集団(Shenhua Group) | |
神華集団は1995年に設立された国有企業で、世界8大炭田の一つとされている神府東勝鉱区(内蒙古自治区と陝西省にまたがる)の開発・運営を担当しており、関連事業として鉄道、発電、貯炭設備、輸送設備を運営している。 神華集団は既報の通り、内蒙古自治区鄂爾多斯(オルドス)市で世界で初めて石炭を直接液化プラントの建設を始めている。 | |
・ | 2004年12月、ダウとcoal-to-olefins project のFS実施で合意した。 陜西省 楡林市が立地候補。 |
・ | 2005年8月、政府から内蒙古自治区の包頭でのCoal-to-Olefins (CTO)計画の一次認可を受けた。 石炭からメタノールを生産し、メタノールからオレフィンを生産するもの。 火力発電 100MW 石炭→メタノール 180万トン メタノール→オレフィン 60万トン オレフィン→PE 30万トン、PP 31万トンほか |
山東エン礦集団(Yankuang Group) | |
・ | 2004年、中国・エン礦集団、ブラジル・リオドセ、伊藤忠は、山東省済寧市に製鉄用コークス及びメタノールのJV 山東エン礦国際焦化有限責任公司を設立した。伊藤忠商事5%、エン礦集団70%、リオドセ社25%の出資。 ドイツKaiserstuhlコークスプラントの設備を中国山東省に移設、年間200万トンの製鉄用コークスを生産し、コークス炉ガスを回収し年間20万トンのメタノールを生産するプラントを併設する。リオドセはブラジル市場の独占販売権、伊藤忠は、コークスの対日独占販売権及びブラジル以外の国外マーケットの優先販売権を持つ。 |
・ | 2005年11月、エン礦集団が出資する山西Tianhao 化学が山西省孝義市で30万トンメタノールプラントの建設起工式を行った。コークス炉ガスを原料に300千トンのメタノールを生産する。 |
・ | 2005年11月、エン礦集団と米国の中国系投資会社・Cathay Capital Group (国泰財富集団) との合弁会社、Yankuang Cathay Coal Chemicals (エン礦國泰石炭化学)は石炭を原料とするメタノール・酢酸工場をスタートさせた。 2004年にエン礦 70%、Cathay 30%で設立されたJVで、山東省藤州市で60万トンの高硫黄炭をガス化し、これを原料に24万トンのメタノールと20万トンの酢酸を生産するとともに、 8万KWの発電を行う。 |
山東省 久泰化工(Jiutai Chemical) | |
・ | 2005年4月、内蒙古オルドス(Erdos:鄂尓多斯)で石炭ガス法(シェブロン・テキサコ法)によりメタノール(150万トン)、DME(100万トン)を生産するJV計画がスタート。 JV名:久泰能源(内蒙古)社(Jiutai Energy) 出資比率:久泰化工69%/米国Rockefeller & Co.31% |
JFEケミカル | |
・ | コークス生産時の副産物となるタールを蒸留分解し、染料やタイヤの原料、電極材料を中国企業と合弁で生産する。 山東省灘坊市でJFEケミカルが、コークス生産を手掛ける山東海化集団と合弁会社を設立、タールの処理能力は年30万トンで、染料や防虫剤となるナフタリンのほか、タイヤの原料となるカーボンブラック、電炉などの電極の材料にする。 投資額は50億円程度とみられ、2006年後半に生産を始める計画。 |
Huating Coal and Power Co. | |
甘粛省政府の承認を受けてGansu Huating Coal Mine and Huating Coal Group を含む10社により設立 | |
・ | 2005年8月、甘粛省華亭県での石炭原料のメタノール計画の承認を受けた。 第1期:メタノール 600千トン 第2期:メタノール 1,200千トン+PP 300千トン 第3期:石炭間接液化法による2百万トンの合成石油と発電 |
インドGAIL | |
・ | 2005年9月、陝西省の陝西華山化工(Shaanxi Huashan Chemical Industry)と 石炭→メタノール→石油化学計画の覚書を締結。 Shellの石炭ガス化技術を使用する計画。 GAILはインドでShellの石炭ガス化技術Shell Coal Gasification Process (SCGP)で‘syngas’ を生産する計画を持つ。 |
雲南省Yunan Jiehua Group Chem Co., Ltd | |
・ | 雲南省で110万トンの褐炭を原料に150千トンのDMEを生産する計画で、2007年末完成予定。 |
寧夏回族自治区 Ningxia Coal Industry Group Co., Ltd. | |
寧夏回族自治区銀川市で2つの石炭化学計画 | |
・ | 石炭原料のDME計画 |
186万トンの石炭から830千トンのDME生産 ドイツの Future Energy CompanyのGSP dry coal powder and gasification technologyを使用 | |
・ | 石炭原料のオレフィン計画 |
石炭ガス化、メタノール、メタノール→プロピレン、PPのコンプレックスで、PP 540千トンを製造。2009年完成予定で建設費は15億米ドル。2006年1月に米国のAMECと建設契約締結。 | |
東洋エンジニアリング(技術) | |
・ | 2006年1月、石炭原料で世界最大の年産21万トンの燃料用DME 製造設備のライセンス供与と基本設計並びに触媒提供の業務を受注。 客先は寧夏煤業集団有限公司で、寧夏回族自治区銀川市で石炭をガス化して製造するメタノールを原料にDMEを製造する。2007年末完成の予定。 |
なおTECは四川省の瀘天化集団公司グループに対し、2003年8月に天然ガス原料で年産1万トンDMEプラントを完成し、2004年には年産11万トンDME製造設備を受注している。 | |
内蒙古・新奥集団(XinAo Group) | |
・ | 2006年、Ordos(鄂尓多斯)でメタノール計画 第1期 2007年末までにメタノール(600千トン)とDMT(400千トン) |
山西省蘭花煤炭實業集團有限公司 | |
・ | 2006年に石炭原料のメタノール、DME計画発表 |
最終 メタノール150万トン、DME 100万トン 第1期 メタノール 200千トン、DME 100千トンで2007年末完成予定 | |
陝西渭河石炭化学集団(Shaanxi Weihe Coal Chemical Group Co.) | |
・ | メタノール 200千トン (2005年スタート) 原料はテキサコ技術の石炭ガス化設備から供給 |
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