中国国家発展改革委員会は30日、本年の西部開発12事業を発表した。総額1,654億元を投じる。
西部大開発は東部沿海地区の経済発展から取り残された内陸西部地区を経済成長軌道に乗せるために国務院が実施している開発政策で、2000年3月の全国人民代表大会で正式決定された。
当初は甘粛省、貴州省、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、四川省、チベット自治区、新疆ウイグル自治区、雲南省及び重慶市の10省区市が含まれたが、その後、内モンゴル自治区と広西チワン族自治区を追加し、12省区市とした。
これまで70項目の事業が行われたが、目玉には「西気東輸」、「南水北調」、「西電東送」、「青蔵鉄道」がある。
「西気東輸」は西部の天然ガスを東部に輸送するもので、新彊のタリム盆地から甘粛、寧夏、陝西、山西、河南、安徽、江蘇、浙江、上海と続く総延長4000キロのパイプラインを建設した。2005年に開通。
「南水北調」は長江の上流、中流、下流からそれぞれ取水し、西北地区と華北地区の各地に引水するもので、東線、中央線、西線の3ルートがある。
西線は長江上流にダムを建設して、長江と黄河の分水嶺に輸水トンネルを掘り、長江上流の水を黄河上流に引くもので、青海省、甘粛省、寧夏回族自治区、内モンゴル自治区、陝西省、山西省等の黄河上中流域と渭河関中平原の水不足解消が見込まれる。海抜3000~5000mで工事を行う。
「西電東送」は西部の火力、水力発電の電力を東部に3つのルートを用いて送電するもの。
北通道は内蒙古自治区、山西省の火力発電所、黄河中上流域の水力発電所から北京・天津への送電網建設計画。
中通道は2009年完成予定の三峡ダムと金沙江流域の水力発電を中心に、上海、江蘇、浙江への送電網を建設する計画。
南通道は雲南、貴州、広西の境界地帯にある天生橋水力発電所から広東省に送電する計画。
7月1日に完成した「青蔵鉄道」は青海省ゴルムドとチベット自治区ラサを結ぶ鉄道で、これにより北京とラサ間が鉄道で結ばれた。
全長1142キロのうち、960キロが標高4千メートル以上で、唐古拉山の最高地点は標高5072メートルで世界一の標高。年間平均気温は摂氏0度以下で、酸素濃度は平地の半分のため、乗客の酸素不足解消のために車内拡散と酸素マスクの2方式で酸素が供給される。自然環境保護のため、トイレ用に真空保持式の汚物処理装置が設置されたほか、車両下部にも汚水処理装置が設置されている。
553キロは永久凍土層を通過するため、地球温暖化による凍土融解のおそれがあり、線路の安全性を懸念する声もある。
将来は支線を3本増設し、そのうち1本は、中印国境のドモ(亜東)を終点とし、インド鉄道に接続させる計画だ。
中国・インド両国は6日、チベットの亜東県とインドのシッキムを結ぶ乃堆拉(ナトゥラ)峠(Nathu La Pass) を開放し、40年余り中断されていた国境貿易ルートを再開した。乃堆拉峠はかつて「シルクロード」南側の主要ルートで、中国とインドの貿易ルートだった。ラサとインド東部最大の貿易港コルカタの間の約1000kmが陸路で結ばれた。
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本年度の12計画のなかには資源、化学関連では以下の計画が含まれている。
・西部地域の重点炭鉱プロジェクト(内蒙古自治区の勝利1号露天炭鉱、寧夏自治区の梅花井炭鉱)
・四川省でのエチレン80万トン生産プロジェクト
・新疆自治区・羅布泊(ロブノール)でのカリ肥料120万トン生産プロジェクト
・内蒙古での酸化アルミニウム40万トン生産プロジェクト
エチレン計画はPetroChinaが51%、成都市が49%出資する成都石油化学(Chengdu Petrochemical Co.)によるもので、本年2月に起工式を行った。
エチレン 800千トン、HDPE 300千トン、LLDPE 300千トン、MEG 360千トンのほか、アクリル酸、フェノール、BPA、ブチルゴム等を生産する。
原料ナフサは 隣接する甘粛省と陝西省のPetroChinaの製油所から貨車で輸送する。
西部地区のエチレンセンターは現在2つだけ。
新疆ウイグル自治区の新疆独山子石油化学(エチレン22万トンで100万トン新設中)
甘粛省の蘭州石油化学(エチレン24万トンで45万トン新設中)
カリ肥料計画は「さまよえる湖」として知られる新疆ウイグル自治区の枯渇したロブノール湖の豊富な塩化カリウムを採掘して年間120万トンの硫酸カリ肥料を生産するというもの。2009年の生産開始を目指す。
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