政府は21日、京都議定書で約束した温室効果ガスの削減目標を達成するため、民間企業が途上国で得た排出権の買い取りを始める。
排出権については 2006/7/7 「温室効果ガス排出権取引」参照
2005年2月に京都議定書が発効し、我国は2008年~2012年の第一約束期間において90年比で6%の温室効果ガスの排出量を削減することとなった。しかし、国内温室効果ガスの排出削減対策及び国内吸収源対策を基本として最大限努力しても、なお京都議定書の約束達成に対し基準年総排出量比1.6%の不足が見込まれるため、この差分について京都メカニズムの活用により対応するもの。
2006年度の購入費は54億円でNEDOに委託して売り手を募集する。
地球温暖化対策推進本部による「京都議定書目標達成計画の進捗状況」は添付図の通りで、
京都議定書削減約束は90年比 ▲6.0%
2004年度排出量実績 90年比 +8.0% (差引 14.0%不足)
2010年予想 現行対策のみでは 90年比 +6.0% (差引 12.0%不足)
追加対策
国内排出量の削減(民間事業者等による対応)で ▲6.5%
森林吸収源 ▲3.9%
残り 京都メカニズム利用 ▲1.6%
合計 ▲12.0%
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=8254&hou_id=7303
なお、森林吸収源については、林野庁の算定では二酸化炭素を国内の森林などが吸収する量は年間 9500万トンに上る。
これは1990年の温暖化ガス排出量の7.5%にあたるが、整備された森林分しか削減量として認められず、林野庁では、今のままでは、目標の3.9%を下回る2.6%程度しか確保できないとみている。
この計画に対して、排出権価格の先高感から目標達成は難しいとの見方が強い。政府が最初から所定の年数に一定量を売るよう確約を求めていること、為替リスクを避けるため円建てしか受け付けないことなども障害になる。
安井至先生の「市民のための環境学ガイド」では
「まったくの無駄。これをやっても、免罪符という紙切れを高いお金で買うだけ」
「支払うつもりの排出権代は、高度な省エネ技術の開発に使用すべき」としている。
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