SABIC、国内で初のイスラム債券発行

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SABICはこの度、サウジ金融市場庁から30億リアル(約9千億円)のイスラム債券(Sukuk)の発行の承認を得た。

SABICのスクークはサウジアラビア銀行のイスラム法委員会により承認を得た最初のもので、SABIC自身が発行する。また最初のサウジ金融市場庁承認のスクークであり、サウジ国内で流通しサウジ証券取引所で売買される最初のスクークで、今後の債券発行の見本となる。SABIC発行のため、リスクは極めて低い。

SABICでは最近、子会社YANSABの新規設備投資(Greenfield project)のため35億ドルの海外債券を発行したり、ドイツ銀行と10億ドルの短期商業金融契約(Murabaha finance agreement)を締結するなど、イスラム式ファイナンスの幅を広げている。

SABICは今回のスクーク発行はSABIC投資計画のファイナンスを更に多様化するものであり、経済発展に資するものとしている。

 

イスラム法(シャリア)において、イスラム教徒は利子の授受を禁止している為、イスラム債券(スクーク)では通常「レンタル料、貸出料」を支払う。
バハレーンに本部を置くイスラム金融機関会計・監査基準機構(AAOIFI)は14 のスクークの種類と発行の要件(対象となる資産の種類)を定めている。基本的性格は①資産担保型と②事業出資型に大別できる。

YANSABSABIC55%、同子会社が10%出資し、残り35%を公募する新しい石化会社で、Yanbuにエチレン130万トン、プロピレン40万トン、BTX25万トン、LLDPE50万トン、HDPE40万トン、EG77万トン、PP40万トン等のコンプレックスを建設する。2007年にスタートの予定。

イスラムのシステムで他と異なる点は税金である。

サウジではサウジ法人に対しては所得に対してザカート(Zakat)が課せられる。
ザカートとは喜捨の意味で、
物質的に余裕のあるイスラム信者に対し神より下されたファルド(義務)の一つであり、その人の年間所得と財産から一定比率の金銭や現物を献納することを意味するもの。

企業に対する税率は非常に低く、SABICの2005年決算ではZakat前損益 19,910百万SR に対してZakatの引当は 750百万SR に過ぎない。

外国法人に対しては法人所得税が課せられる。税率は新所得税法が2004/4/30に公布され、一律20%に引き下げられた。
SHARQなどSABICと外国企業との合弁会社においては、利益のうちサウジ法人持分に対してはZakat が、外国企業持分に対しては法人所得税が課せられる。

新所得税に関しては中東協力センターのホームページ参照 
http://www.jccme.or.jp/html/japanese/11/pdf/11-04/11-04-22.pdf

 

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