BPが石油化学に参入したのは、1947年にBP(当時はAnglo Iranian Oil) がウイスキーメーカーのDistillers とのJV British Petroleum Chemicals を設立したのがきっかけである。
The Distillers Company (DCL)は1877年に設立された会社で、スコッチウイスキーと副産品としてイーストや工業用アルコールを生産していた。
同社は第二次大戦前に、アルコールを利用して化学分野への進出を決定した。
・1937年
ペイントや熱硬化性樹脂のメーカーの British Resin Products Ltd を買収
・1939年
British Xylonite と50/50JVのBX Plastics Ltd を設立
・1941年
F.A.Hughes & Co(フェノール、セルローズアセテート、PVC等を生産)の48%を取得
・1947年
F.A.Hughes & Coの100%を取得し、British Resin Products Ltd に統合
Barryに工場建設
PS、PVCに関心を持ち、British Resin Productsで小規模生産
・1945年
DCLとB F Goodrich が55/45のJV British Geon Ltd を設立
BarryでPVC(と後にニトリルゴム)を生産
◎1945年、英国政府はアルコールからのアセチレン生産に関する特典を廃止、
化学原料の石油への関税を免除
→ DCLは糖蜜からのアルコールから石油への原料転換を決める。
・1947年
DCLとAnglo Iranian Oil Company(のち、BPと改称)が50/50のJV British Petroleum Chemicals を設立(1956年とBritish Hydrocarbon Chemicals 改称)
Grangemouth に工場を建設、DCLの化学事業に原料を供給
・DCL、Phillips Petroleum からHDPE技術の独占権を取得、Grangemouth でHDPE生産、British Resin Productsで販売
・1953年
DCLとDow Chemical が55/45(後、50/50)のJV Distrene Ltd を設立
BarryでPSを生産
・1959年
British Xylonite の残り50%と、持ち主のBX Plastics Ltd を買収
◎BX Plastics Ltd ではPS、PVCを生産しており、両JVと競合
・1961年
DCLとUnion Carbide が50/50JV Bakelite Xylonite Limited を設立
DCLは British Xylonite/BX Plastics を拠出
UCCはBakelite Ltd を含むUCCの英国のプラスチック事業を拠出
* Bakelite Ltdについては 2006/2/15 「プラスチック100周年」 参照
1966年になって、DCLの取締役会は30年間続いた化学事業から撤退し、元のウイスキー事業に専念することを決めた。
その後の交渉の結果、1967年に以下の通り決定した。
BPが引き受け(DCLパートナー持分を含め) | ||||||||||||||||||||
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Dow が引き受け | ||||||||||||||||||||
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なお、DCLは1986年に敵対的買収で Guinness に吸収された。
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BPはこれを基にその後、石化事業を拡大した。
BPはその後、Barry工場の操業を停止、各事業は個別に売却された。
Grangemouth はその後もBPの英国の拠点であった。
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BPは2005/4/1、石油化学の大半をInnoveneとして分離、2005年末にIneosに売却した。
2006/6/14 「事業買収で急成長した化学会社」 参照
但し、PTAとその原料であるパラキシレン、酢酸、及び中国でのエチレンJVはその後もBPのコア事業である。
2006/7/26 「BPが韓国のPTA事業から撤退」 参照
参考資料 http://www.plastiquarian.com/styr3n3/pqs/pq10.htm
(Plastics Historical Societyのホームページ
http://www.plastiquarian.com/ から)
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