クウェートの中国進出

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SINOPECとクウェート国営石油会社(KNPC)の石油精製プロジェクトが26日、国家発展改革委員会の承認を受けた。
SINOPECの広州石油化工がKNPCとのJVを設立し、
広州市南沙経済開発区で年間1,200万トンの石油精製を行うもの。

事前報道では15百万トンの石油精製と100万トンのエチレンコンプレックスと伝えられたが、石油精製能力は12百万トンで承認を受けた。エチレンコンプレックスについては今回の承認に含まれているかどうかは、まだ明らかになっていない。

昨年12月に中国とクウェートは広東省での石油精製計画について覚書を締結、クウェートの石油大臣がペトロチャイナと会談して協議を行った。しかし、この地域が本拠地であるSINOPECが巻き返し、政府を動かした。(石油でのSINOPECのメインテリトリーは東部と南部、ペトロチャイナが北部と西部となっている)

なお、直前の7月18日の報道では、SINOPEC、KNPCのほか、ダウともう1社欧米の石油会社が交渉に加わっているとされている。
ダウは当初、天津でのSINOPEC等とのエチレン合弁構想からは撤退したが、中国でのエチレン計画に関心を持っていると言われており、今後、同地での石油化学計画に参加する可能性もある。

Nanshamap 広州市は珠江の三角州にあり、市の南東部に黄埔地区、最も川下に南沙地区がある。

SINOPEC側で本計画を担当する広州石油化工は、同じ広州市の黄埔地区に石油精製・石油化学基地を持っており、精製能力を770万トンから1200万トンに増設中で、本年にスタートする。
(当初SINOPECはエクソンモービルと精製能力増強の共同実施の話し合いをしていたが、まとまらなかった)
また、本年2月にエチレンを既存の20万トンから80万トンに増設する計画の認可を取得した。現在の同社の誘導品能力は、PE200千トン、PP110千トン、SM80千トン、PS46千トン、ブタジェン35千トンで、
エチレン増設とともに HDPE、EVA等を新設するが、詳細は明らかにされていない。

 

サウジやクウェート、アラブ首長国連邦等は中国の石油需要増大を背景に中国への投資意欲を持っている。
他方、中国は原油確保のため産油国との関係強化を図っている。また、中国では自動車燃料や石油化学原料の需要増大に備え、今後5年間で石油精製能力を25%増やす考えである。

サウジ勢では既にアラムコが福建省泉州市の石油精製・石油化学計画に参加している。
ExxonMobil が25%、Saudi Aramco が25%、中国側(SINOPEC、福建省)が50%出資し、SINOPECと福建省の50/50合弁の福建煉油の既存の製油能力を400万トンから1,200万トンに拡張するとともに、エチレン80万トンのクラッカー、65万トンのPE、40万トンのPP、100万トンの芳香族プラントを建設するもの。投資額は35億ドルで、2005年7月に起工式を行った。2008年完成を予定している。

本計画は当初、エクソン/アラムコと福建煉油でエチレン60万トン計画のFSを実施、1999年11月の江沢民主席のサウジ訪問の際に、政府間で石油精製の増設計画に合意した。

SABICもいろいろの動きを見せている。
ダウ離脱の後、
SINOPECの天津石油化学 (旧称 天津聯合化学) は天津市の大港地区で既存の750万トンの製油所を1,250万トンに拡張し、エチレン100万トンを新設する計画をたてたが、SABICもこれに関心を示し、交渉した。
本計画は昨年末に
SINOPEC単独の計画として政府の承認を受けたが、本年1月のサウジのアブドゥッラー国王の最初の公式訪中を機に、SABICがSINOPECと再度交渉を再開したと伝えられた。
最終的にはSINOPEC単独実施となった模様。

またSABICは2004年6月に大連実徳グループと50/50のJVで、大連市の旅順港に50億ドルをかけて、年産1千万トンの製油所と年産130万トンのエチレンコンプレックスをつくる計画をたてている。現在、交渉が最終段階にあると伝えられている。

 




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