新日本石油は8月23日、サハリン1プロジェクトの権益者であるサハリン石油ガス開発株式会社(SODECO)から「サハリン・ソコール原油」を初めてスポット購入することを決定したと発表した。
「サハリン・ソコール原油」は中東軽質原油に類似した性状を持ち、パイプラインで結ばれた不凍港の出荷地 De-Kastri が日本から至近距離(航海日数:京浜地区まで3.5日)にあるなど、日本にとって極めて有望な石油資源。
購入数量は70万バレル(約11万KL)で、10月に到着する。鹿児島市の新日本石油の喜入基地で荷揚げする。
サハリン1はエクソン・モービル子会社のエクソンネフテガスが30%、サハリン石油ガス開発(株)(通称:SODECO)が30%、インドのONGCヴィデッシュ社が20%、ロシアのサハリンモルネフテガス・シェルフ社が11.5%、ロスネフチ・アストラ社が8.5%を出資する。
SODECOには石油公団が50%、海外石油開発株式会社が9.45%、石油資源開発株式会社が9.45%出資している。
その他の出資者は以下の通り。
伊藤忠商事 9.45%、丸紅 7.65%、伊藤忠石油開発 2.4%、インドネシア石油 2.4%、
日商岩井 1.55%、帝国石油 1.4%、兼松 1.3%、コスモ石油 1.25%、
出光興産 1.25%、住友商事 1.25%、トーメン1.2%
サハリン計画については 2006/6/6 「新・国家エネルギー戦略」発表 参照
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8月26日の日本経済新聞は「サハリン開発 ロシア、外資に圧力 投資に影響も」との記事を載せている。
ロシアのプーチン政権が、資源・エネルギーの国家管理を一段と強化しようとしているというもの。
サハリン沖の原油・天然ガス事業に対して、ガスプロムの同事業への参加比率を高めるのを狙い、従来の取り決めを見直すよう間接的に圧力をかけている。
ロシア政府は「サハリン2」でロイヤル・ダッチ・シエル、三井物産、三菱商事と生産分与協定(PSA)を締結しているが、「合意事項が守られていない」などとして四半期ごとの会計報告書を要求。違反に対して罰金を科す可能性を示した。
また輸出基地に通じるパイプライン建設についても環境監視当局から環境汚染の懸念があると指摘されていたが、8月中旬に工事を停止した。再開時期は未定。
ガスプロムはロイヤル・ダッチ・シェルが所有する55%の権益のうち25%超を西シベリアのガス田の権益と交換することで昨年基本合意したが、条件面で折り合っていない。日本勢の権益の一部取得も働きかけており、日本側も株式を一部手放す可能性はあるが、交渉は難航している模様。今回の工事中断は、権益拡大を狙うロシア側の圧力とみられている。
「サハリン-3」では当初エクソン・モービル等が開発免許を得ていたが、2004年に免許を剥奪、本年中に再入札の予定となった。
* 本情報を基に、2006/6/6 「新・国家エネルギー戦略」発表 でのサハリン-3以下の記載を更新した。
ロシア政府はまた、仏トタルがPSAを結んで開発するロシア北部のハリャガ(Kharyaga)油田・ガス田にも一部権益譲渡を要求するなど圧力を加えている。
ハリャーガ[ヤマロ・ネネツ自治管区]
1996年4月にロシア連邦政府が承認。
出資比率はLukoil 20%、TotalFinaElf 40%、Norsk Hydro 30%、Nenets Oil 10%。
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同じく8月26日の日本経済新聞は、イランがアザデガン油田の開発権を持ちながら本格工事を始めない日本の国際石油開発に対して、「9月15日までに着工で合意できなければ、中国やロシアなどとの共同開発も考える」と警告したと伝えている。
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