日本のポリオレフィン業界の変遷-1

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日本のPE、PPは技術導入でスタートした。

2006/4/18 「日本の石化の過当競争の始まり PE技術導入競争
2006/4/19 「
ポリプロピレン技術導入競争」 参照 

 

各社の事業スタートは以下の通り。(単位:千トン)

      会社名 工場 技術  1958  1959  1960  1961  1962  1963  1964  1965
LDPE 住友化学 大江 ICI   11   11   14   26   50   50   80   80
三菱油化 四日市 BASF   -   10   10   34   50   50   50   80
日東ユニカー 川崎 UCC   -   -   -   -   27   27   39.5   46
三井ポリケミカル 大竹 デュポン   -   -   -   -   24.5   24.5   49   49
旭ダウ 川崎 ダウ   -   -   -   -   -   -   10   25
宇部興産 千葉 ダート   -   -   -   -   -   -   -   20
能力合計       11   21   24   60  151.5  151.5  228.5  300
HDPE 三井石油化学 岩国 チーグラー   12   12   12   14.4   21.6   24   48   48
昭和油化 川崎 フィリップス   -   10   10   10   10   22   36   36
古河化学 川崎 スタンダードオイル   -   -   9.1   9.1   9.1   8.7   18.7   20
能力合計       12   22  31.1  33.5   40.7   64.7  102.7  112
PP 三井化学 大竹 モンテ   -   -   -   -   10   10   10   20
住友化学 大江 モンテ   -   -   -   -   -   10   10   20.5
三菱油化 四日市 モンテ   -   -   -   -   -   10   10   20
チッソ石油化学 五井 アビサン   -   -   -   -   -   13   13   13
能力合計       -   -   -   -   10   43   43 73.5

古河化学:
 古河電工がポリエチレン企業化を図り、フィリップスと技術導入交渉したが、昭和電工に奪われ、
 Standard Oil Company of Indianaの中圧PE技術を導入。
 1956
10月 古河化学設立
  (古河電工
36%、横浜護謨 16%、旭電化 10%、古河鉱業・富士電機・富士通信機・日本ゼオン各7% その他)
 その後、日石化学に事業譲渡して撤退。
 

(産構法時代)

1979年1月には第2次石油危機が発生し、3万円/kl程度であったナフサ価格は一気に6万円/klまで上昇、需要が激減し、不況が深刻化した。

1982年12月石油化学産業体制委員会は、「石油化学工業の産業体制整備のあり方について」を通産大臣に具申した。
内容は、
 ①過剰設備の処理、
 ②投資調整の実施、
 ③生産・販売の合理化のための集約化、
 ④コスト低減対策の実施、
 ⑤海外プロジェクトヘの対応の5項目を骨子とするものであった。

これらの構造不況対策を実施するため、政府は1983年5月24日「特定産業構造改善臨時措置法(産構法)」を施行した。

 産構法の概要は次のとおりであった。
  ①法対象となる業種を特定産業として指定する。
  ②特定産業ごとに構造改善基本計画を策定する。
  ③同基本計画に基づいて、設備の処理を事業者の自主的努力によって行う。

 設備処理は設備廃棄を原則としたが、業界の要請を入れ、設備休止も許容された。

ポリオレフィンの設備処理

1983/6に告示されたポリオレフィン製造業の構造改善基本計画では、過剰設備として83/8現在のポリオレフィン年産能力の22%に当たる902,000t分を処理することになった。
 高圧法ポリエチレン(LDPE)は年産能力の37%に当たる637,000tの設備処理
 中低圧法ポリエチレン(HDPE)は同25%に当たる265,000tの設備処理
 ポリプロピレンは設備の過剰度がそれほど大きくなかったので、設備処理の対象とはならなかった。
 設備の新設、増設および改造は、目標期日までの間は行わないとした。

 各社別処理は下記。

ポリオレフィン共販会社

業界では産構法施行前から新しい体制の検討を始めている。

1982年1229日の報道では、石油化学業界が再編成の焦点となっているポリエチレンなど主力誘導品の生産・販売のグループ化について関係企業18社を3グループに集約することで基本的に合意したとしている。
それによると、
 ①三菱化成・三菱油化・旭化成工業・昭和電工・東燃石油化学・出光石油化学・日本ユニカー (7社)

三菱系2社は同一資本系列。昭和電工は三菱油化と製品融通関係にあり、東燃石化に対して中低圧ポリエチレン工場を売却したいきさつがある。日本ユニカーはその子会社。旭化成は昭電、出光とトップ同士が親密な関係にある。さらに旭化成と三菱化成は岡山県水島地区にエチレンの共同生産会社をもっている。

 ②三井石油化学・三井ポリケミカル・三井東圧工業・日本石油化学・宇部興産 

三井系3社に、三井石油化学とエチレン共同生産会社を持つ日本石油化学が加わる。さらに三井東圧系のエチレン生産会社に出資していて三井グループと関係が深い宇部興産も参加する。

 ③住友化学工業・東洋曹達・新大協和石油化学・日産丸善ポリエチレン・チッソ・徳山曹達

住友化学と、東洋曹達、新大協和石油化学、日産丸善ポリエチレン、チッソの興銀系4社の連合にポリプロピレンを手がける徳山曹達が参加するというもの。

3つのグループのシェアはポリエチレン2品目では、三菱系が約48%、三井系が約30%、住友・興銀系が22%。
ポリプロピレンは三菱系が約38%、三井系が約30%、住友・興銀系が32%となる。

19831月には、宇部興産が三井グループではなく、高圧ポリエチレンを生産している千葉の丸善石油化学コンビナートの運営を重視し、住友化学と興銀系化学会社を核とする第三グループ入りを表明した。

19833月、公正取引委員会は汎用樹脂の共同販売会社設立を目ざしている三菱化成、三菱油化、昭和電工、旭化成、東燃石油化学、出光石油化学、日本ユニカーの石油化学7社の常務クラスの役員を呼び、「7社の共販会社案はシェアが大きすぎるので、再検討したうえ、再提出願いたい」と正式に伝えた。
当時の報道によれば、通産省は4グループ化を主張しており、業界案をバックアップしなかった。
 
これを受けて、7社は2つのグループに分割することを正式に確認した。
三菱油化、三菱化成工業2社と、
昭電、旭化成工業、東燃石油化学、日本ユニカー、出光石油化学の5社で
それぞれ共販会社設立を目指すことになった。

しかし、石化共販4グループ案に対して公取委が難色を示した。
住友・興銀系のシェアは3品目合計で約33%だが、「品目によってはシェアが高過ぎるものもあるはず」とし、また、シェアの高い上位3グループの合計シェアが約80%になることにも公取委は難色を示した。

これに対して業界では特殊品を共販の対象製品から除外することとした。
これによって最大のシェアを握る住友・興銀グループは30%を切り27%台まで低下、上位3グループの合計シェアも70%を下回り67%に落ち着く。

1983524日、「特定産業構造改善臨時措置法(産構法)」が施行された。
これを受けて各グループが正式に申請、承認を受けて7月1日から営業開始した。なお、ユニオンポリマーは新大協和石油化学が出資せず
社となった。


ポリオレフィン共販会社と各社の設備処理

共販会社 出資会社 出資比率
   
(%)
             能力(千トン)
   LDPE    HDPE      PP
 83/8  85/8 増減  83/8  85/8 増減  83/8  85/8 増減
ユニオンポリマー
83/6/17設立
83/7/1営業開始
住友化学工業   18   286   164  -122   -   -  -   144   144    0
宇部興産   18     147    99   -48   -   -  -   105   105    0
東洋曹達   18   167   103   -64    72    52   -20   -   -  -
チッソ   18   -   -    45    35   -10   156   156    0
徳山曹達   14   -   -   -   -  -    95    95    0
日産丸善ポリエチレン   14   -   -    75    54   -21   -   -  -
  100   600   366  -234   192   141   -51   500   500    0
ダイヤポリマー
83/6/17設立
83/7/1営業開始
三菱油化   50   260   185   -75    36    0   -36   190   190    0
三菱化成工業   50   118    58   -60    75    69    -6    35    35    0
  100   378   243  -135   111    69   -42   225   225    0
エースポリマー
83/6/23設立
83/7/1営業開始
昭和電工   20   123    70   -53   122   113    -9    92    92    0
旭化成工業   20   147    96   -51   129    82   -47    0    12   +12
出光石油化学   20     0    38  +38    82    64   -18    80    80    0
東燃石油化学   20  -  -  -    45    37    -8    76    76    0
日本ユニカー   20   185   138   -47  -  -  -  -  -  -
  100   455   342  -113   378   296   -82   248   260   +12
三井日石ポリマー
83/7/1設立
83/7/1営業開始
三井石油化学   25    45    45    0   226   168   -58   121   121    0
三井東圧化学   25  -  -  -  -  -  -   158   198   +40
日本石油化学   25    95    71   -24   100    75   -25     0    28   +28
三井ポリケミカル   25   175   127   -48  -  -  -  -  -  -
  100   315   243   -72   326   243   -83   279   347   +68
合計      1,748  1,194 -554  1,007   749   -258  1,252  1,332   +80

1.産構法に基づく設備処理前(1983/8)と設備処理後(1985/8)の設備能力を対比
2.LDPE欄には、L-LDPEおよびEVAの生産能力を含む
3.HDPE欄では、四日市ポりマー(新大協和石化系)分は東洋曹達分に含めた
4.PPは設備処理の対象外であり、1984/4に操業を開始した
泉北ポリマー分(年産能力80千t)以外は設備能力に変更なし。
  1985/8の生産能力欄では泉北ポリマー分をその出資各社の引取枠に分け、それらを出資各社分に含めた
  (引取枠:三井東圧化学40千t、日本石油化学28千t、旭化成工業12千t)

 

産構法により過剰設備が廃棄され、共販制度により値下げ競争が回避できた中で、1986年第2四半期にナフサ価格が急落した。第1四半期に31,300円/klであったナフサは一気に16,900円/klに下がった。これとともに景気は回復し、石化製品の需要も急増した。

通産省は業界の経営状況が安定し今後環境の激変がない限り構造不況に陥ることはないとの判断から、1987年9月16日にエチレンについて産構法の特定産業指定を取り消し、同時にポリオレフィンと塩ビ樹脂製造業の指示カルテルも取り消した。

 

(ポスト産構法前期)

石化業界では通産省の指導もあり、産構法終了後も産構法精神を維持することとした。
このため、2つの方策が取られた。

①「デクレア方式」(事前報告制度)

今後は設備カルテルは認められなくなったが、新増設の乱立をおさえるため、新増設に当たっては事前に通産省に報告し公表する制度がつくられた。

 具体的には
  ・3万トン/年以上の新増設は着工の6ヵ月前、
  ・3万トン/年以上の設備を改造する場合は着工の3ヵ月前、
  ・休止設備を再開する場合は稼働開始の3ヵ月前
 に通産省に報告して公表することとなった。

②共販制度の維持

公取委は産構法の終了をもって共販会社も解散すべきだと強く主張した。米国の市場開放要請の中に共販制度も参入障害とする指摘があったことも、これを後押しした。

しかし業界では共販制度が価格競争を防ぐ重要な手段として継続を主張、最終的に公取委は、他の共販メンバーとの提携をしないこと、生産・流通・販売の合理化の進展状況を毎年報告することを求めた。

ーーーー

景気の回復により需要が急増し、供給不測に陥り、業界では早くも増産に乗り出した。

まず、産構法で休止した設備の再稼動を行った。通産省は1987年9月16日にエチレンについて産構法の特定産業指定を取り消したが、88年に入り、各社が相次いで休止設備の再稼動に乗り出した。

LDPEでも休止設備の再稼動が行われた。

  旭化成:水島製造所の年産7,300トンの設備を再稼動
  東ソー:四日市工場の年産23,500トンの設備を再稼動
  宇部興産:千葉工場の同24,000トンを再開
  日本ユニカー:川崎工場で同8千トン規模で設備を再稼動
  昭和電工:大分工場で同1万8千トンの設備を再稼動

次いで新規増設の検討が相次いだ。

誘導品では公取委が他の共販メンバーとの提携を認めないため、主に共販単位で新設が行われた。

  会社名 設置場所 能力 出資者 グループ
PE
(LLDPE)
千葉ポリエチレン 住化・千葉  80,000 住友化学/東ソー ユニオンポリマー
宇部興産 宇部・千葉  50,000  
PP 千葉ポリプロ 住化・千葉  60,000 住友化学/宇部興産/トクヤマ/共販会社 ユニオンポリマー
宇部ポリプロ 宇部・宇部  80,000 宇部興産/住友化学/トクヤマ/共販会社
四日市ポリプロ 東ソー・四日市  40,000 東ソー/チッソ/共販会社
浮島ポリプロ 日石・浮島  80,000 日本石油化学/三井東圧/三井石油化学/共販会社 三井日石ポリマー
ディー・ピー・ピー 油化・鹿島  80,000 三菱油化/三菱化成 ダイヤポリマー
化成・水島  50,000
旭化成
後、日本ポリプロ
旭化成・水島  64,000   エースポリマー

各計画の概要は以下の通り。(*は、その後)

千葉ポリエチレン 

設立 1990/2 
出資 住友化学75%/東ソー25%
立地 住友化学 千葉工場内
能力 LLDPE 80千トン
技術 住化新開発の気相法
引取比率 住友化学75%/東ソー25%

 LLDPE化の進む中で、LLDPEを持っていなかった住友化学が、東ソーと組んで、自社技術での製造を行うもの。
 当初は輪番構想で、2期として東ソー・四日市で建設することとしていたが、後、東ソーが権利放棄
        
 
* 200412末にJV解消し、住化100%とした
   工場は能力10万トンにアップし、住化の次世代型ポリエチレン(EPPE)用に使用している。

宇部興産

立地 宇部興産 千葉工場内
能力 LLDPE 50千トン
技術 BPの気相法

 住友化学は下記のPPと同様、ユニオンポリマーでの共同生産を考えたが、宇部興産から単独で新設した。
 1989年スタート。

 *その後、販売不振で停止。
  1994年11月、三井石油化学と提携、三井のメタロセン触媒による気相法LLDPEの商業規模での試験生産に使用
  (異なる共販メンバーだが、公取委は単なるライセンスとして問題視せず)

千葉ポリプロ

設立 1988/7 
出資 住友化学 47.5%/宇部興産 31.7%/徳山曹達 15.8%/ユニオンポリマー 5.0%
立地 住友化学 千葉工場内
能力 PP 60千トン
技術 住化新開発の気相法(直前にシンガポールのTPCで工場建設)
引取比率 住友化学 30千トン/宇部興産 20千トン/徳山曹達 10千トン

 産構法が期限切れとなる1988/6/末を期限に、ユニオンポリマーのメンバー会社である住友化学、宇部興産、徳山曹達などが協議を重ねた結果、3社が共同して住友化学の気相法により新鋭プラントを建設することで合意した。
 
 なお、ユニオンポリマー内で新しくPPに進出したいとする東ソーに対しJVへの参加を勧めたが、同社は自社での製造に拘り、参加を断った。同じユニオングループのチッソは単独でのPP増設を計画した。

 共販体制下での行動であることから、共販会社のユニオンポリマーも資本参加した。

宇部ポリプロ

設立 1990/12
出資 宇部興産 47.5%/住友化学 29.69%/徳山曹達 17.81%/ユニオンポリマー 5.0%
立地 宇部興産 宇部工場内
能力 PP 80千トン
引取比率 宇部興産 40千トン/住友化学 25千トン/徳山曹達 15千トン

 千葉ポリプロの第二期として輪番で宇部興産が建設。

  *1995/9  ユニオンポリマー解散
   1995/10 宇部興産が三井石油化学とグランドポリマー設立
           宇部興産の千葉ポリプロ持株と住化の宇部ポリプロ持株を交換
   1999/4  宇部興産が宇部ポリプロ持株をグランドポリマーに譲渡
   2002/4  三井化学がグランドポリマーを吸収合併 
          (宇部ポリプロ 三井化学 81.25%/トクヤマ 18.75%
   2003/4  トクヤマが宇部ポリプロ持株を三井化学に譲渡(三井化学100%に)
   2001/6  トクヤマが千葉ポリプロ持株を住友化学に譲渡(住友化学100%に)

四日市ポリプロ

設立 1988/7
出資 東ソー 47.5%/チッソ 47.5%/ユニオンポリマー 5.0%
立地 東ソー四日市工場内
能力 PP 40千トン
技術 チッソの気相法
引取比率 東ソー 20千トン/チッソ 20千トン

 ユニオンポリマーのメンバーでPP新規進出を希望する東ソーは四日市での工場建設を主張して千葉ポリプロへの参加を拒否、単独でのPP増設を計画していたチッソと提携、当初チッソ品で販売を行い、両社折半出資の生産会社を設立した。   

 * 1995/9  ユニオンポリマー解散
   1995/10 東ソー PP営業権をチッソに譲渡
            出資比率  チッソ80%、東ソー20%
           引取比率  チッソ 100%
   1999/7   チッソ100%
   2003/9   チッソが吸収合併

浮島ポリプロ

設立 1988/4
出資 日本石油化学 30%、三井東圧 30%、三井石油化学 30%、三井日石ポリマー 10%
立地 日本石油化学 川崎工場内
能力 PP 80千トン
引取比率 日本石油化学三井東圧三井石油化学 各1/3

 日本石油化学は三井東圧とのPPのJV・泉北ポリマーに参加し、PPを販売しているが、自社での生産を希望 した。

  * 1995/9  三井日石ポリマー解散(同社持分解消)
    1995/10
 日本石油化学、ポリオレフィン事業を昭電とのJV日本ポリオレフィンに統合
    1995/10 三井石油化学、PP事業を宇部興産とのJVグランドポリマーに統合
    1996/3  三井東圧が資本撤退(泉北ポリマーと交換)→日石化学 66.7%、三井石化 33.3%
    1997/7  三井石化、三井東圧が合併、三井化学誕生→日石化学 66.7%、三井化学 33.3%
    1999/4  日石化学 100%
           三井化学のそれまでの引取枠(33.3%)見合いの製造受託 (2002/3 解消) 

 

  参考 泉北ポリマー

設立 1977/4
出資 当初 三井東圧化学50%/本石油化学50% (日石化学のPP進出)
1981/3 三井東圧化学50%/日本石油化学35%/旭化成15% (旭化成のPP進出)
立地 三井東圧化学・大阪工場内
能力 PP 80千トン
引取比率 三井東圧 50千トン/日石化学 28千トン/旭化成 12千トン
備考 1984/4 営業運転開始 産構法でこの分だけ増加が認められた。

  * 1995/3 旭化成PP撤退で全株を三井東圧に譲渡
    1996/3 三井東圧100%、吸収合併 (浮島ポリプロと交換)

 

ディー・ピー・ピー 

  1989/11 三菱油化と三菱化成はPPプラントを東西に1ヵ所ずつ建設すると発表した。

出資 三菱油化 50%/三菱化成 50%
立地 三菱油化 鹿島工場 三菱化成 水島工場内
能力 PP 80千トン PP 5万トン
技術 三菱油化の気相法 三菱化成の気相法

  両社の既存プラント(水島工場41千トン、鹿島・四日市251千トン)のうち、3万トン分を鹿島新プラント稼動開始に合わせて休止
   
   
* その後、三菱化学が吸収 

旭化成(後、日本ポリプロ)

立地 旭化成 水島工場
能力 PP 64千トン
技術 BASF法気相法

 旭化成は泉北ポリマーに参加し、製品を引き取って販売していたが、自社での生産を希望、1990年に水島製造所にポリプロピレン製造プラントを新設した。

   *1994/10 旭化成はPP事業からの撤退を決め、昭和電工に譲渡した。泉北ポリマーからも資本撤収。
        (昭和電工はPS事業からの撤退を決め、旭化成に営業権を譲渡している)

    1994/8 昭和電工と旭化成は工場の運営のため日本ポリプロを設立
         昭和電工 66.7% 旭化成33.3%
         旭化成は製造受託者としての出資で製品引取権はなし。

     昭和電工の日本ポリオレフィン設立で株主は日本ポリオレフィンとなる。

    1999/3 プラント停止、その後解散

 以上の各計画のうち、
 *東ソーはPPに新規進出
 *日石化学は泉北ポリマーに参加しているが、自社プラント内に初めてプラント建設
 *旭化成も泉北ポリマーに参加しているが、自社プラント内に初めてプラント建設

 *このほか、日本鉱業も新規参入を狙い、輸入販売を始めた。

 

各社の増設の結果、ポリオレフィンの各社の能力は1993年8月時点で以下の通りとなり、産構法以前の能力をはるかに上回るものとなった。

  産構法設備処理 1993/8 
  前   後
LDPE  1,741  1,194  2,257
HDPE  1,052   749  1,279
PP  1,252  1,332  2,568

 

LDPE能力     単位:千トン

    産構法設備処理 1993/8  うち新設
  前   後
住友化学 大江    96     0     0  
千葉   190   164   205  
JV   ー   ー    60 千葉ポリエチレン
(計)   (286)   (164)   (265)  
東ソー 南陽    81    41   181  
四日市    86    62
JV   ー   ー    20 千葉ポリエチレン
(計)   (167)   (103)   (201)  
宇部興産 千葉   147    99   197 BP法LL 50
三菱油化 鹿島    60   115   325 HD併産 36
四日市   200    50
(計)   (260)   (165)   (325)  
三菱化成 水島   118    78   148  
鹿島   ー   ー    13 HD併産 13
(計)   (118)   (78)   (161)  

三井石化

(三井デュポン)

千葉   ー   ー    82  
岩国   ー    45    45 (HD枠振り替え)
千葉   100   100   112  
大竹    75    27    58  
(計)   (175)   (172)   (297)  
日石化学 川崎    95    71   158  
日本ユニカー 川崎   185   138   290  
旭化成 川崎    33    0    0  
水島   114    96   141  
(計)  (147)   (96)   (141)  
昭和電工 大分   123    70   166  
出光石化 千葉    38    38    56  
合計    1,741  1,194  2,257  

 

HDPE能力    単位:千トン

    産構法設備処理 1993/8 うち新設       
  前   後
チッソ 五井    45    35    63  
東ソー 四日市    72    52   115  
丸善ポリマー 千葉    75    54    91  
三菱油化 鹿島   ー   ー    36 LLDPE併産
四日市    36   ー   ー  
(計)   (36)    (0)   (36)  
三菱化成 水島    75    69    94  
鹿島   ー   ー    13 LLDPE併産
(計)   (75)   (69)   (107)  
三井石化 千葉   172   164   204  
大竹    99    4
(計)   (271)   (168)   (204)  
日石化学 川崎   100    75   135  
旭化成 水島   129    82   126  
日本ユニカー 川崎   ー   ー    10  
昭和電工 大分   122   113   197  
出光石化 千葉    82    64   110  
東燃化学 川崎    45    37    85  
合計    1,052   749  1,279  


PP能力    単位:千トン

    産構法設備処理 1993/8  うち新設
   前   後
住友化学 大江     6     6     0  
千葉   138   138   200  
JV   ー   ー    61 千葉PP 36、宇部PP 25
(計)   (144)   (144)   (261)  
宇部興産   105   105   133  
JV   ー   ー    64 千葉PP 24、宇部PP 40
(計)   (105)   (105)   (197)  
徳山曹達 徳山    95    95   132  
JV   ー   ー    27 千葉PP 12、宇部PP 15
(計)   (95)   (95)   (159)  
チッソ 五井   156   156   237  
JV   ー   ー    28 四日市PP 28
(計)   (156)   (156)   (265)  
東ソー JV   ー   ー    28 四日市PP 28
三菱油化 鹿島   100   100   194  
四日市    90    90    79  
JV   ー   ー    80 DPP鹿島 80
(計)  (190)  (190)  (353)  
三菱化成 水島    35    35    42  
JV   ー   ー    50 DPP水島 50
(計)   (35)   (35)   (92)  
三井石化 千葉   121   121   175  
JV   ー   ー    30 浮島PP
(計)   (121)   (121)   (205)  
三井東圧 大阪    61    61   136  
大竹    97    97    0  
JV   ー    40    44 泉北ポリマー
JV   ー      30 浮島PP
(計)  (158)  (198)  (210)  
日石化学 JV   ー    28    30 泉北ポリマー
JV   ー   ー    35 浮島PP
(計)   (0)   (28)   (65)  
旭化成 JV   ー    12    13 泉北ポリマー
水島   ー   ー    64  
(計)   ( 0)   (12)   (77)  
昭和電工 大分    92    92   216  
出光石化 千葉    80    80   240  
東燃化学 川崎    76    76   200  
合計    1,252  1,332  2,568  

産構法ではPPは設備廃棄なし、泉北ポリマー80千トン増設

(続く)

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