バイエルは9月5日、上海ケミカルパークで3工場の開所式を行った。
完成したのはポリカーボネート工場の第一期 10万トン/年、粗MDIのスプリッター(モノマー/ポリマー分離)8万トン/年、及びHDI 3万トン/年のプラント。
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バイエルは2001年10月、朱鎔基首相、シュレーダー首相も参加して、上海ケミカルパークの新生産基地に関する基本契約に調印した。同11月に浦東のバイエルの新しい高分子研究センターの開所式と合わせて着工した。
基本契約の中心は、3つのコア・プロジェクト(塗料、熱可塑性樹脂、ポリウレタン原料の生産)の認可で、
第1は自動車、建設、家具業界で使用される塗料・着色材の製造で、バイエル塗料システムズ(上海)が担当する。
第2はポリカーボネート「マクロロン」の製造で、バイエル・ポリマー(上海)社」(バイエル90%/上海クロルアルカリ 10%)が担当する。
第3はポリウレタン原料の大規模生産で、新設の100%子会社「バイエル・ポリウレタン(上海)社」が担当する。
このほか、今後複数のプロジェクトを追加する。
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今回完成したポリカーボネートは第1期 100千トン/年プラントで、2008年までに第二期工事で倍増し、20万トン/年とする。
原料ビスフェノールAは同地で建設する20万トン/年プラント(完成時期未定)の完成まではワールドワイドに購入する。
(2006/4/14 「ポリカーボネートと原料ビスフェノールA」で、PC、BisA 各20万トンを完成済みとしたのは誤り)
バイエルによると、アジア太平洋地域はPCの最大市場で、昨年は世界市場全体270万トンの半分以上の150万トンが販売されている。このうち、台湾、香港を含む Greater China だけで65万トンが販売され、年率18%の伸びを示している。
なお、2003年頃にはバイエルとGE Plastics の間で、本計画をJVで実施する案を長期間交渉したといわれているが、実現しなかった。
MDIのスプリッターは第3のコア・プロジェクトのポリウレタン原料の最初のプラントで、2008年に世界最大の35万トン/年のMDI設備がスタート、2009年には16万トン/年のTDIもスタートする。ポリエーテル28万トン/年も計画されている。
上海ケミカルパークではバイエルの工場に隣接してBASF/ハンツマンのイソシアネートコンプレックスが本年8月に竣工している。
Shanghai Lianheng Isocyanate Co., Ltd.
BASF(35%)、ハンツマン、上海クロールアルカリ、
上海華誼公司、SINOPEC上海高橋石化のJVアニリン 160 ニトロベンゼン 240 MDI 240 Shanghai BASF Polyurethane Co., Ltd.
BASF(70%)、上海華誼公司、
SINOPEC上海高橋石化のJV。硝酸 245 ジニトロトルエン 150 TDI 160 Huntsman Polyurethanes Shanghai Ltd.
ハンツマンと上海クロールアルカリのJV。MDI精製
第1のコア・プロジェクトの塗料・着色材は、2003年からポリイソシアネートのDesmodur® N 11,500トン、2004年末にDesmodur® L 11,000トンの生産を始めている。
今回のHDI 30千トンの新設はこれに次ぐもの。将来、20千トンの増設も検討する。
ポリウレタンベースの塗料は上海の最も有名な観光名所、盧浦大橋(Lupu Bridge)や自動車塗料に使用されている。
.上海ケミカルパークの配置図は添付の通り。(右下がバイエル、その左のBASFのPTHFを挟んで「イソシアネート」とあるのがBASF/ハンツマンのイソシアネートコンプレックス。
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