中国財務部、国家発展改革委員会、税関総局、税務総局は、9月14日共同で、特定製品の輸出増価税リベートを変更すると発表した。9月15日から適用される。
輸出増価税リベートとは輸出製品の購入の際の増価税、輸出製品の製造のための原料やサービスの購入時の増価税を払い戻すもの。
中国では財、サービスの販売時、輸入時には原則17%の増価税(付加価値税)がかかる。製品販売者は製品の販売にかかわる増価税とその購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増価税との差額を納付する。
(日本の消費税の仕組みと同じ)
製品の輸出に関しては増価税は免除される。その製品の購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増価税に関しては、(日本では全額控除されるが)、中国では政策的にその全部又は一部がリベートとして払い戻される。
リベート率11%とは購入代価に含まれる17%(一般品)の増価税のうち11%相当分を払い戻すことになる。残りは輸出業者の負担となる。
今回、特定製品についてはリベートをゼロとしたり、リベート率を引き下げたり、引き上げたりしている。
リベート率を下げると輸出業者の負担が増え、輸出価格引き上げにより輸出競争力が弱まる。逆にリベート率の引き上げは輸出促進に役立つ。リベート率引き下げは国や地方政府の支出を減らす効果を生む。
リベート率引き下げに含まれる繊維や家具は米国などで中国からの輸出増大が大問題となっている。
通達では今回の変更は本年度に政府が行うマクロ経済の調整の一つであり、産業構造を改善し、貿易の伸びを促進し、貿易収支の均衡を推し進めるためのものとしている。
今回の変更点は以下の通り。
(1)リベート制度の廃止(=強い輸出抑制)
・関税番号 25XX(但し塩、セメント等は除く)
例:石炭、天然ガス、オレフィン、シリコン、stone material, ferrous metal, scrap
*塩は13%のまま、セメントは13%から11%に引き下げ
・25種類の農薬と医薬中間物、革製品、鉛電池、酸化水銀電池、その他
(2)リベート率引き下げ(=輸出抑制)
改正前 改正後 鉄鋼(関税番号 142X) 11% 8% 陶器、特定の革製品 13% 8% セメント、硝子 13% 11% 特定の鉄金属 13% 5%、8%、11% 繊維、家具、プラスチック、ライター、特定の木製品 13% 11% 手押車と部品 17% 13%
(3)リベート率引き上げ(=輸出促進)
・IT関連製品、バイオ医薬品、国家産業政策により輸出促進を図るハイテク製品
13%から17%に引き上げ
・農業加工製品
5%から11%または13%に引き上げ
それぞれの具体的な関税番号別明細(中国語)は http://www.mofcom.gov.cn/accessory/200609/1158299499802.xls
参考 中国の増価税(VAT=Value Added Tax) 制度
中国の増価税は1984年に24品目で開始され、1994年1月から暫定増価税規則により全面的に実施された。税収は75%が中央政府、25%が地方政府の収入となる。2002年の税収は8,141億人民元(約12兆円)で、国家の全税収の47.61%に達する。
納税者 | : | 製品の販売、加工、修理、組み立てサービス、輸入を行う企業及び個人 | ||||||||
税率 |
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納税額 | 販売に伴うVAT額 マイナス 同じ期間の購入に伴うVAT額 (引き去り不足は次期に繰り越し) | |||||||||
輸入品 のVAT |
(通関額+関税) x 税率 他の税金がかかる場合はそれを加える。 | |||||||||
輸出品の VATリベート |
製品により、3%、5%、8%、13%、17%の還付を受ける。 (今回、11%、0%が追加された) |
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