ノーベル賞とイグ・ノーベル賞 (ちょっと息抜き)

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ノーベル生理学・医学賞は米スタンフォード大学のAndrew Z. Fire教授と米マサチューセッツ大学のCraig C. Mello教授が受賞した。Dnarna
授賞理由は「RNA干渉―二本鎖構造のRNAによる遺伝子の沈黙」で、遺伝子情報からたんぱく質を作る過程が、どのような場合に妨げられるかを解明した。遺伝子の機能を最適に制御する上で大きな役割を果たしている。生物を有害なウイルスの感染から守るのにも役立っており、遺伝子組み換えによる品種改良や新薬開発などへの応用が期待されている。 

2006年のノーベル化学賞は米国スタンフォード大学医学部のRoger D. Kornberg 教授が受賞した。
授賞理由は「真核生物の転写についての分子的基盤に関する研究」で、細胞の遺伝情報が読み取られる仕組み(細胞に核を持つ真核生物のDNAにある遺伝情報を、伝達役であるRNA:リボ核酸が写し取り、それを基にタンパク質が合成される仕組み)を解明した。
RNAポリメラーゼは、DNAの二重らせんの必要な部分をほどき、ばねのような構造で少しずつDNAを動かしながら、遺伝情報の文字(塩基)を一つずつ読み込んで、mRNAを作ってゆく。1文字分の極めて小さい空洞を作り、適切な部品をはめてゆく仕組みで、間違った部品は型が合わずはまらない。
遺伝情報の転写ミスと関係があるとされているがんや心臓病、炎症などの研究にも役立ったと評価された。

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2006年のイグ・ノーベル賞(The Ig Nobel )授賞式は5日、米ハーバード大サンダース講堂で行われた。
ignoble(=nobleでない)とNobel をかけたもので、「人を笑わせ考えさせてくれる研究」に対して贈られ、裏ノーベル賞といわれている。


イグ・ノーベル賞は1991年、ハーバード大系の科学雑誌「ありそうもない研究」(Improbable Research ・・・Research that makes people LAUGH and then THINK)の編集者Marc Abraham が創設した。

2006年の平和賞には高周波雑音発生装置「Electromechanical Teenager Repellant」、通称「モスキート」を発明した英国のHoward Stapletonが選ばれた。
人間は年をとるに従い、高周波の音が聞き取れなくなる。「モスキート」はこれを利用して、若者しか聞き取れない高周波の雑音を発して、街にたむろするteenagerを追い払うための装置(repellant)として開発された。
しかし、この装置は生徒が教室で先生には聞き取れない着信音で携帯電話を掛け合うのに利用されているのが分かり、問題となった。

医学賞は "digital rectal massage" 触指による直腸マッサージ)がシャックリの確実な治し方である」ことを発見したFrancis Fesmire に贈られた。
急性すい炎を発症して経鼻チューブを挿入された60歳男性が、経鼻チューブがきっかけでしゃっくりが止まらなくなった。しつこいしゃっくりは、チューブを外したり薬物を投与しても止まらなかったが、直腸刺激によって止めることに成功。数時間後に再びしゃっくりが始まった際も、同様に止めることができたという。

栄養学賞は「フンコロガシの食嗜好についての研究」で、フンコロガシが肉食動物よりも草食動物の糞を好み、草食動物の中でも、馬が一番で、続いて羊、ラクダの糞の順に好みがあることを明らかにした。

化学賞は「温度影響を受けるチェダーチーズの超音波速度」だが、タイトルを見てもよく分からない。説明を読んでも同じです。
The ultrasonic velocity in Cheddar cheese is temperature dependent.
This relationship can be used to make corrections when determining ultrasonic texture or to determine mean temperatures in cooling/heating processes. At 0 < T < 35 °C ultrasonic velocity was 1590 to 1696 m/s, at 0 and 35 °C, respectively. Differential Scanning Calorimetry thermograms linked the temperature dependence of ultrasonic velocity to fat melting. Three parts are distinguished in the curve as a consequence of the fat melting and the appearance of free oil. The most reliable temperature interval to carry out ultrasonic measurements in Cheddar cheese is identified as 0 to 17 °C.

ほかに以下の賞が与えられた。

文学賞:「必要性に関係なく用いられる学問的専門用語がもたらす影響についてー不必要に長い単語の使用における問題」、
音響学賞:「黒板をつめで引っかく音をなぜ人間は嫌うかの実験」、
鳥類学賞:「頭を振り続けるキツツキはなぜ頭が痛くならないのか」、
物理学賞:「乾燥スパゲティを曲げると、しばしば二つより多い部分に折れてしまうのはなぜか」、
数学賞:「だれも目を閉じていない集合写真を撮るには、何枚撮影すればいいか」、
生物学賞:「マラリア媒介蚊のメスが、リンブルガー・チーズと人間の足のにおいを好むこと」

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今年は日本人の受賞者はいなかったが、過去に以下の11件の研究がイグ・ノーベル賞を受賞している。

名前 部門            受賞理由
1992 神田不二宏, E. Yagi,
M. Fukuda
K. Nakajima,
T. Ohta and O. Nakata
(資生堂研究センター)
薬学賞 足の匂いの原因となる混合物の解明
1994 気象庁 物理学賞 地震が尾を振るナマズによって引き起こされるかどうかを7年間研究した功績
1995 渡辺茂(慶應義塾大学)
坂本淳子
脇田真清(京都大学)
心理学賞 ハトの絵画弁別(ハトを訓練してピカソとモネの絵を区別できるようにした)功績
1996 岡村長之助
(岡村化石研究所)
生物学的
多様性賞
岩手県の岩石から古生代石炭紀(約3億年前)の石灰岩中に超ミニ恐竜化石を発見した功績
(小さな石を顕微鏡で見て超ミニ恐竜化石だと主張して発表)
1997 舞田あき(バンダイ)
横井昭宏(ウィズ)
経済学賞 バーチャルペット(たまごっち)の開発によりバーチャルペットへの労働時間を
費やさせた功績
1997 柳生隆視 他
(関西医科大学)
生物学賞 様々な味のガムをかんでいる人の脳波を研究
1999 牧野武
(セーフティ探偵社)
化学賞 妻や夫の下着に適用して精液の跡を発見できる浮気検出スプレーの開発.
2002 佐藤慶太(タカラ社社長)
鈴木松美(日本音響研究所)
小暮規夫(獣医学博士)
平和賞 コンピュータ・ベースでの犬と人間の言葉を自動翻訳するデバイス「バウリンガル」開発
2003 広瀬幸雄 教授
(金沢大学)
化学賞 銅像に鳥が寄りつかないことをヒントに、カラスを撃退できる合金開発
2004 井上大佑 平和賞 カラオケを発明し、人々に互いに寛容になる新しい手段を提供
2005 中松義郎
(ドクター中松) 
栄養学賞  36年間にわたり自分が食べたすべての食事を撮影し、食べ物が頭の働きや体調に与える影響を分析

 

 

 

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