シノペック子会社の茂名石化が広東省茂名市で建設していた年産64万トンのエチレンクラッカーがこのほどスタートし、オンスペックとなった。既存の36万トンと合わせ、合計能力を100万トンとした。
茂名石化は広東省西部に位置する石油精製と石油化学の統合基地で、石油精製能力は年産1350万トンでエチレン能力は360千トンであった。
これまでの誘導品能力はHDPE/LLDPEが175千トン、LDPEが100千トン、MEGが100千トン、SM 100千トン、PP 170千トン、芳香族 150千トンであった。
同社は2003年に新クラッカーの建設承認を得て2004年12月に建設を開始した。当初は既存の36万トンエチレンを80万トンに拡張する計画であったが、のちに計画を変更した。
本年8月には新しい年産120万トンの接触改質装置が稼動した。また260万トンのガスオイル水添脱硫装置も稼動した。
エチレン増設とともに、誘導品の増設も行っており、新設のHDPE 350千トン、PP 300千トン、ブタジェン 150千トンが既に稼動しており、芳香族も 150千トンから 460 千トンに拡張した。更にLDPE 250千トンを建設中で、2007年第1四半期にスタートの予定。
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中国政府はエチレンの大型化を推進している。
2005年12月、発展改革委員会(NDRC)は「産業構造の調整促進のための暫定規定」と「産業構造調整指導リスト」を公表した。このうち「指導リスト」は、産業分野を奨励対象、規制対象、淘汰対象の3種に分類している。
エチレンでは年産600千トン未満の計画を「規制対象」とし、逆に「奨励対象」には大型エチレン計画(東部、沿岸地域では800千トン以上、西部地区では600千トン以上)及び既存エチレンプラントの拡張計画を挙げている。(誘導品についても大型化を奨励している。)
NDRC はまた、本年3月に第11次5カ年計画での「エチレン工業中長期育成計画」を発表した。それによると、中国は2010年までに既存プラントの増設と新規計画により 1,060万トンの能力増を行うこととなる(本年1月スタートの中海シェル計画や着工・承認済みの計画を含む)。2005年末の能力が 780万トンであるため、この通りいけば2010年末には1,840万トンになるということになる。
既存プラントの増設については、例えば本件や上海石化の増設のほか、撫順石化(175千トン)のような中規模プラントも拡張し、100万トンに近い能力に引き上げ、既存プラントの能力を2010年までに438万トン増やすとしている。
上海石化は既存の2系列(150千トン&700千トン)のうち、三菱化学技術の第1系列をS&Bで 550-600千トンにすることが計画されている。遼寧省の撫順石化(エチレン175千トン)は800千トンの増設を実施中。
新設については中海シェル計画のような大規模エチレンを7基、合計620万トンを新設する。揚子江デルタ、珠江デルタ、渤海湾地域が2010年には全国のエチレンの60%以上を占めることとなり、同時に新疆、甘肅、四川、湖北省など中西部地区にも大型エチレンが建設されるとしている。
このほか、「育成計画」では、規模の経済と原料問題を提起し、エチレン新設の場合、能力は80万トン以上とすること、製油所との結合で原料入手を確実にし、新計画の原料の75%以上を自給することとしている。
さらにエチレンメーカーに他の原料ソース、例えば、Sinopec傘下の石油化工科学研究院が開発した深度接触分解法(Deep Catalytic Cracking) FCCや、石炭→メタノール・メタノール→オレフィン(MTO)を探求することを求めている。
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