中国で三菱化学技術のアクリル酸エステル工場完成

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中国藍星(前回記事参照)の子会社、瀋陽パラフィンのアクリル酸エステル工場が22日、遼寧省瀋陽市の瀋陽経済技術開発区に完成した。

三菱化学が藍星に供与したアクリル酸、アクリル酸エステル技術により建設していたもので、瀋陽パラフィンの生産するプロピレンを原料に、アクリル酸 80千トンと2系列計 130千トンのアクリル酸エステル(メチル 10千トン、エチル 10千トン、ブチル 80千トン、2-エチルヘキシル 20千トン、その他)を製造する。投資額は12.9億人民元。

三菱化学は2004年8月に藍星との間で、技術供与と、藍星が生産する同製品の一部を三菱化学が引き取る契約に調印した。
藍星から引き取るアクリル酸、アクリル酸エステルを、三菱化学とサソールの合弁会社サソール・ダイヤ・アクリレーツ(下記)を通じて、中国国内を含むアジア市場を中心に販売する。

なお、同プラントの基本設計及び設備調達は、三菱化学エンジニアリングが担当した。

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三菱化学は原料のアクリル酸、アクリル酸エステルから川下製品の高吸水性樹脂、エマルジョンまで「トータル・アクリレート・チェーン」を石化ビジネスにおけるコア事業として位置づけており、ワールドワイドな事業展開を加速させるとしている。

同社は四日市にアクリル酸110千トン、アクリル酸エステル116千トンの能力を持っている。

2001年10月、南アのSasol 社との間でアクリル酸及びアクリル酸エステルの共同事業について合弁会社を設立することで基本合意した。その後、20039月に2つの合弁会社を設立した。
Sasol Dia Acrylates (Pty) Limited (本社:南ア)
 三菱化学 50%、Sasol 50% 出資で、アクリル酸及びアクリル酸エステルの販売、投資等の事業管理を目的とする。

Sasol Dia Acrylates (South Africa) (Pty) Limited (本社:南ア)
 ①のJVが
50%、Sasol 50% 出資で、Sasol 社 Sasolburg工場敷地内に、三菱化学技術で、
 アクリル酸 80千トン、アクリル酸ブチル 80千トン、アクリル酸エチル 35千トン、精製アクリル酸 10千トンを生産。

三菱化学とサソールの間には、これより以前に、三菱がノルマルブタノール生産技術を供与し、サソールが生産するノルマルブタノール(年産能力15万トン)の一部を引き取るとの提携関係が出来ていた。

高吸水性樹脂(SAP)については、三菱化学は原料アクリル酸からの一貫生産の強みを生かして当分野に進出すべく独自に懸濁重合法によるSAPを開発、1987年に生産販売を開始した。同じく、三菱化学の関連会社である日本合成化学もSAPの生産販売をしており、両社はSAP事業合理化のため、1996年、合弁会社・ダイヤポリアクリレート三菱化学 51%出資、生産能力年産1万トンを設立した。

一方、三洋化成は、1975年に水溶液重合法によるSAPの開発に成功し、1978年に世界で初めてコマーシャルベースでSAPの生産販売を開始し、生産能力を順次増強し、名古屋工場に年産8万5000トンのプラントを有していた。

両社はそれぞれの事業を統合してサンダイヤポリマー(三菱40%/三洋60%)を設立し、2001年4月から営業を開始した。

サンダイヤポリマーは20036月に江蘇省南通市に100%子会社、三大雅精細化学品(南通)を設立した。2005年10月から高吸水性樹脂2万トンを生産している。 

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三菱化学では藍星との提携が、三大雅へのアクリル酸供給ソースが確保できること、需要の大幅な伸びが期待される中国をはじめとするアジア市場へのアクリル酸エステルの供給体制が強化できるなど、本事業の発展・強化に資する提携となるとしている。

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