BASFは21日、BASFとダウが欧州で共同でワールドクラスのTDIとその原料プラントを建設するFSを実施することを決めたと発表した。TDIの能力は世界最大の30万トンで、2011年スタートを見込んでいる。FSでは立地、技術、インフラ等を検討する。
BASFとダウは共同で30万トンの過酸化水素法PO(HPPO)工場建設を決め、9月にアントワープのBASF工場内で起工式を行っている。両社はアジアなど他の地域でのHPPOの共同生産も検討している。
今回のTDIでの共同事業はこれに次ぐ両社の提携。
2006/3/24 「ダウとBASF、POを新製法で生産」 参照
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BASFのTDIの製造拠点は以下の通り。
ドイツ Schwarzheide | 70,000 t | |
米国 Geismar | 160,000 t | 2002年に120千トンプラントをreplace |
韓国 麗川 | 140,000 t | 2003年稼動 |
中国 上海 | 160,000 t | Shanghai BASF Polyurethane Co., Ltd. |
中国ではBASFはHuntsman 及び中国側とのJVで上海にイソシアネート・コンプレックスを建設した。
同コンプレックスは次の3つのJVから成っており、2006年に稼動。
BASFはTDIとMDIに、ハンツマンはMDIのみに参加している。
BASFは2005年7月付けで、ハンツマンから世界全体のTDIの商権を買収した。製造設備や人員は移さず、TDIの需要家リストと販売契約を移管した。
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これに対してダウはTDIについては消極的である。
米国 Freeport |
100,000 t | 他の系列の 59千トンは2001年に休止、2006/3 停止決定 |
イタリー Porto Marghera |
118,000 t | 旧 EniChemプラント、2006/8 停止決定 |
ブラジル Camacari | 64,000 t | 他に、MDI 25千トンのTDI転換計画があったが、取り止め |
ダウは2001年に需給状況を勘案して Freeport の2系列のうち、第一系列 59千トンの休止を決めた。(2006年3月には停止を決定している)
これと同時に、休止していたブラジルの25千トンのMDIプラントをTDIに転換する計画も取り止めている。
2001年にダウはイタリアのENI と契約を結んだ。
ENI とUCCは50/50のPEのJV、Polymeri Europe を持っていたが、ダウによるUCCの吸収合併に伴い、UCCのPolimeri持分をENI に譲渡し ENI 100%とする代わりに、ENIのポリウレタン事業を譲り受けた。
ENIから譲り受けたPorto Marghera 工場は本年8月初めに定期修理に入ったが、世界的な供給過剰により市況が弱含みなため、ダウでは生産を再開しないことを決めた。
2006/9/7 「ダウ、3工場の7プラント閉鎖」 参照
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これらから見ると、ダウの側には積極的にTDI事業を拡大しようとする意欲は見られない。BASF側もドイツの既存能力は7万トンに過ぎず、今回、30万トンを新設する理由が不明である。
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なお、BASFの他のポリウレタン事業は以下の通り。
MDI | ベルギー Antwerp | 450,000t | 2007年に560千トンに増設 |
米国 Geismar | 260,000 t | ||
韓国 麗川 | 160,000 t | 100千トンから順次増設 | |
中国 上海 | 240,000 t | Shanghai Lianheng Isocyanate Co., Ltd.(上記参照) | |
Polyether polyols | 510,000 t | 米(2)、メキシコ、アルゼンチン、ベルギー、ドイツ、韓国 | |
Polyester polyols | 115,000 t | 独、伊、ブラジル、韓国 |
ダウもMDIについては精力的で、本年9月に、ポルトガルのEstarreja でのMDIの増設を決めたと発表した。2009年にこれが完成すると、同社の世界全体のMDI能力を大きく増大させ、現在世界で360万トンと見込まれる旺盛な需要に対応できるとしている。
同社は本年テキサスのFreeportで最新鋭の227千トンのMDIプラントを完成させている。これに伴い、テキサスの LaPorte工場の同能力のプラントを停止する。
また同社は天然油ポリオール(Natural Oil Polyols) の開発に成功している。
2006/10/5 「ダウ、天然油ポリオール開発に成功」参照
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