CITICはこのたびカナダのNations Energy Co. から同社の最大の資産であるカザフスタンの Karazhanbas 油田を19億ドルで買収すると発表した。同油田は埋蔵量が340百万バレル以上で、最近の生産量は5万バレル/日以上。
2005年には中国石油天然ガス集団(CNPC)がカザフスタンに油田の権益を持つカナダのペトロカザフスタンを41億8千万ドル買収している。(その後、カザフ国内ではエネルギー分野で急速に存在感を増す中国に対する脅威論も広がり、カザフでの事業を円滑にするためカザフ国有石油に株の33%を譲渡している)
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売り手のNations Energy は1996年に設立されたカナダの企業だが、実はインドネシアのハシム財閥のHashim Djojohadikusumoが設立し、会長を務める会社である。
ハシム・グループ傘下のティルタマス・マジュタマは、サイアムセメント、日商岩井、伊藤忠商事との合弁でトランス・パシフィック・ペトロケミカル・インドタマ(TPPI)を設立し、東ジャワのツバンでエチレン/アロマの一大コンプレックスを建設しようとした。(ツバン計画)
しかし、1997年の通貨危機で資金手当てができなくなり、工事中断に追い込まれた。
その後もHashim は経営権を手放さず居座ったが、最後に追い出された。
ツバン計画はその後、出資者と事業内容を変更し(ケロシン、ディーゼル、ナフサ、BTX、パラキシレンの製造)、本年春から生産を開始している。
2006/4/27 「インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加-2」参照
パラキシレンはインドネシアでのPTAが好調でフル操業をしており、来年に現在の50万トンから80万トンに手直し増設を行う。
ハシムはインドネシアの財産をほとんど没収されたが、海外に莫大な財産を持っていた。
1996年にNations Energy を設立し、1997年にはカザフスタンのJSC karazhanbasmunai の94.6%を買収した。1999年に生産量が4,900bpdだった同油田は2004年末には50,000bpdに増大した。
2003年にはアゼルバイジャンで石油採掘を開始、同年、カリフォルニアに油田を持つカナダの会社に出資している。
本年初めから同社の売却話が多数流れていた。
まず、Chaina National Overseas Oil Company (CNOOC) が20億ドルで同社を買収するという噂が出た。CNOOCがこれを否定すると、インドのOil and Natural Gas Company が交渉するという噂や、ロシアのOAO Lukoil が関心をもっているという噂が流れた。
ハシムが利益の出ている石油事業を何故売却するかについて、ハシムがインドネシアに戻る積りではないかとの説が出ている。
海外事業の売却資金を、ツバンを含むインドネシアの財産を買い戻したり、実兄が所有し、資金繰りに困っているパルプ会社 PT. Kiani Kertas への融資に当てるのではないかというものである。
PT. Kiani Kertas は通貨・経済危機時に破綻し、その後、ハシムの兄で、元スハルト大統領の女婿で軍の特殊部隊の司令官を務めていたプラボオ元中将とその仲間が所有している。
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