三井農林が開発した高純度茶カテキンを原料とする皮膚病用の塗り薬が10月、米食品医薬品局から植物由来医薬品としては初めて承認を受けた。
ドイツの医薬品開発ベンチャーのMediGeneが三井農林の高純度カテキン「ポリフェノンE」を使った皮膚疾患「コンジローマ」の治療軟膏の承認を受けたもので、昨年9月に申請していた。
ポリフェノンEは茶葉から抽出された総カテキンを90%以上まで精製した高純度カテキンで、抗酸化、抗菌、抗がんなどの作用があるとされるエピガロカテキンガレートが60~70%含まれている。
三井農林は 北京がんセンターとの共同研究で、ヒトパピローマウィルスによるコンジローマを抑制することを発見、97年に国際特許を取得し、2000年からMediGeneと提携して新薬の開発に取り組んで来た。
同社は2005年9月にポリフェノンEをFDAに原薬として正式登録している。
コンジローマはパピローマウィルスにより良性ではあるが伝染性の腫瘍(イボ)が性器や肛門にできる病気で、難治といわれており、北米では約1400万人、ヨーロッパでは1500万人がパピローマウィルスに感染しているといわれている。
MediGeneは米国の提携先の Bradley Pharmaceuticals, Inc.に販売権を供与した。米国での販売額は1億ドルにも達するとみられている。MediGeneは欧州での申請を準備中。
これを受けて、三井農林では、原料手当てから原薬製造まで一連の投資に着手し、原薬の供給体制の整備を進めている。
中国に茶原料および中間原料基地を確保するとともに、ポリフェノンE商業生産のためアルプス薬品工業の工場施設を借受け、三井農林が約4~5億円の投資を行って製造設備の設置に取組んでいる。
同社では又、ポリフェノンEを使い、がん予防薬の開発に取組んでいる。
1997年以来、米国有数のがん研究機関と協力して、米国の著名な大学研究所、医療機関研究所8ヶ所でポリフェノンEを使った多種類のがんに対する予防薬としての臨床実験を行っている。がんの前駆症状に対し、ポリフェノンEを投与することにより、いかに進行がおさえられ、症状が改善するかという臨床実験で、第2相試験が進行中。
三井農林は1980年に日本の企業として初めて、茶カテキン、茶ポリフェノールの研究に着手した。翌年には、世界で初めて茶葉からカテキンだけを抽出する技術を開発、こうした研究から生まれた緑茶抽出物を「ポリフェノン」と名付け、商標登録をした。
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