高機能樹脂の増設

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最近、各社が高機能樹脂の増設を進めている

出光興産、千葉工場でSPS樹脂の生産を再開

出光興産は独自開発の耐熱性エンジニアリングプラスチックのシンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂(商標:ザレック)の本格生産を千葉工場にて再開した。Sps

1985年にメタロセン触媒を用いて、ポリスチレンをシンジオタクチック構造にすることで、耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックスとしての特性を付与することに成功、1997年に千葉工場内に5,000/年の商業プラントを建設し、供給を開始した。

同社は1988年からダウと共同研究を行ってきたが、ダウにライセンスを行い、ダウが1999年にドイツのSchkopau 36千トンプラントを建設したため、千葉の生産を停止した。

しかしダウは2004年秋に、同社が想定したほどは需要が伸びなかったとして、本事業からの撤退を決めた。工場は他の製品に転用する。

このため出光では独自に世界展開を図ることを決めた。
2006年1月から米国の
DHコンパウンディング(ダウとPolyOneのJV)にコンパウンドを委託して米国で販売を開始、5月には英国のPerrite にコンパウンドを委託して欧州での販売を開始した。10月から千葉の年産5,000トンのニートレジン製造設備を再開したもの。

これにより日本、アジア、米国、欧州の世界四極でのコンパウンド供給体制と併せ、SPS製品のニートレジン生産から販売までのグローバル供給体制が整えた。設備増強の検討にも着手する。

SPSは、耐熱性、電気特性、耐薬品性、耐スチーム性、軽量性などに特長があり、鉛フリーハンダ対応のコネクタなどの自動車電装部品、IH炊飯器・洗濯乾燥機・スチームオーブンレンジなど加熱部のある家電部品、アンテナなどの電子部品に用途を拡大している。

 

東レ、高機能樹脂PPS、LCPの生産設備増強

東レは10月末に、高機能樹脂のPPS(ポリフェニレンサルファイドLCP液晶ポリマー)の増強を発表した。

PPSは
東海工場に年産2,500トンの重合設備を新設し、年産能力は11,500トンに拡大、LCP樹脂については愛媛工場に年1,000トンの重合設備を新設し、現有能力倍増の年2,000トンに拡大する。PPSは更に2009年までに2,500トンを増設する計画。

PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、機械的強度、難燃性等に優れたスーパーエンプラで、電気・電子機器やOA機器、自動車の電装部品等に使用されており、世界需要はニートレジン換算で約4万トン推定されている。クレハ、大日本インキ、東レの国内3社グループが供給の8割を占める。

LCP樹脂は、耐熱性や薄肉流動性に優れているのが特徴で、携帯機器の高性能化に伴う電子部品の小型精密化の進展により需要が急速に拡大している。世界需要はニートレジン換算で約2万トン

 

大日本インキ、PPS樹脂の生産倍増

大日本インキ化学もPPS樹脂の倍増を決めた。鹿島工場(茨城県神栖市)に100億円を投じて1万トンの新設備を導入、能力を年2万トンに倍増する。まず第1期として3,500トンの設備を2008年夏にも稼働させる。

なお、クレハも錦での能力7,500トンをデボトルネッキングで10,000トンにするとともに、米国のFortron Industries (Ticona との50/50 JV)の能力を2007年に年15,000トンに倍増する。

 

クラレ、耐熱性ポリアミド樹脂の生産体制強化

クラレは独自技術により開発した耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>=ノナンジアミン(炭素数9 のジアミン)を使用した新しい半芳香族ポリアミド樹脂(PA9T)の能力増強を決定した。Jesta_1

原料ノナンジアミンについては鹿島の3,000トン設備をS&Bで7,000トンとする。
樹脂PA9T
は西条の4,500トンを5,500トンにするとともに、鹿島に新しく 2期に分けて計7,000トンを建設し、合計12,500トンとする。
投資額はモノマー80億円、樹脂 20億円の合計100億円。

<ジェネスタ>は耐熱性、低吸水性、摺動性、耐薬品性などに優れた特長を持ち、電気・電子分野や自動車分野で需要が伸びている。
同社では電気・電子分野におけるターゲット市場(耐熱樹脂需要)を現在で年43千トン、2015年に68,700トンと想定している。

 

三菱ガス化学、低誘電性樹脂「オリゴ・フェニレン・エーテル」製造装置新設

三菱ガス化学は、四日市工場で低誘電性樹脂であるオリゴ・フェニレン・エーテル(OPE:2官能PPEオリゴマー)の製造装置を完工した。年産300トンで、10月から量産品のサンプル配布を行なっている。

ポリフェニレンエーテル(PPE)の低誘電性、高耐湿性などを活かしつつ、溶剤に溶けにくいなどの加工性における難点を、低分子量化および分子量分布の均一化により解決することで、低誘電特性、高耐湿性、高耐熱性に優れるとともに、汎用溶剤に溶ける機能性樹脂として、これを開発した。
同社では
また、熱硬化性や光硬化性を有するエポキシ体やスチレン体などの誘導体を開発している。

Enplaope

 

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