武田薬品の中間決算が6日発表された。
決算概要 (単位:百万円、配当 円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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上期の連結売上高は前年同期から7.1%増収の6,424 億円となった。
4月に子会社「武田食品工業」の飲料・食品事業を同社とハウス食品との合弁会社のハウスウェルネスフーズ株式会社に譲渡したことによる減収影響を、米国子会社「武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ」を中心に医療用医薬品が伸長したことにより吸収した。
営業損益は、前年同期から9.7%増益の2,362 億円となった。
研究開発費、販売費及び一般管理費が増加したが、粗利益の増加によりこれを吸収した。
経常損益も、営業利益の増加に加え、米国、欧州、日本の3極における金利の引き上げを背景とした受取利息の増加および持分法による投資利益の増益等に、前年同期から15.3%増益となった。
「TAP ファーマシューティカル・プロダクツ」の持分法投資利益は前年同期から21.1%増益の295億円となっている。
これに対して、当期利益は前年同期から12.2%、221 億円減益の1,591 億円となった。
特別利益は前年同期 326億円に対し、383億円となった。
前年は厚生年金基金代行返上益204億円と、ワイス及び武田キリン食品の株式譲渡益120億円等があったが、今期はワイス及び三井武田ケミカル等の株式譲渡益171億円、武田食品工業の飲料・食品事業の事業譲渡益190億円等を計上している。
このため税金等調整前中間純利益は前年同期から453 億円の増益となったが、移転価格税制に基づく更正処分に関する追徴税 571 億円を当中間期の損益に含めて計上したため、中間純利益は減益となった。
通年の予想では連結の売上高、経常損益は前年を上回るが、当期損益は上記の追徴額の影響で前年比マイナスとなっている。
配当は間配当金が、前年同期より7円増配し、1株当たり60円とした。期末も1株当たり60円を予定しており、年間では120円となる。
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武田薬品は6月28日、米国アボットとの50:50の合弁会社のTAPファーマシューティカル・プロダクツとの間の2000年3月期から2005年3月期の6年間の製品供給取引等に関して、米国市場から得られる利益が武田に過少に配分されているとして、移転価格税制に基づき、大阪国税局より所得金額で6年間で1,223億円の所得の更正を受け、約570億円の追徴税額を課せられたと発表した。
同社は、
・TAPとの取引価格はアボットの合意なしには決められず、独立企業間価格であり、移転価格税制が適用されるべきものではない、
・価格を安くすればTAPの利益が増えて半分がアボットにいくため、武田にとってTAPに所得を移転する意図や動機はない、
として、徹底抗戦の構え。
2006/6/29 「武田薬品、移転価格税制に基づく更正」 参照
同社は当初、追徴税額は返還されるものとみなし、監査法人トーマツの判断に基づき、追徴税を長期仮払金として処理したが、その後、追徴税の会計処理について、納付者が不服申立て等を行っている場合であっても、一律に全額費用処理する方法にトーマツが意見を変更した結果、追徴税額の全額を当中間期の当期税額に含めて計上することとしたもの。
同社は本年8月、大阪国税局に対し異議申立書の提出を行っている。
なお、移転価格税制については、国税当局から申告漏れを指摘され、見解が食い違う企業が相次いでおり、経済産業省では産業界を入れた研究会を設けて財務省・国税庁に改善を求めることを決めた。大手企業や学識者、経団連を入れた研究会を立ち上げ、来年初めに報告をまとめる。
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