北京市はこのたび、発ガン物質「スーダンレッド4」含有の疑いがあるとして、河北省産の卵黄が赤いアヒルの卵(「紅心」)の販売を一時停止した。緊急措置を発動して、河北省産のすべての「紅心」卵の販売を一律に停止し、現場で差し押さえ、検査を行っている。
「紅心」卵は、「放し飼いにしているアヒルが、小魚や小エビを食べて、卵黄の赤い卵を産んだ」との宣伝文句で売れ行きが好調だったが、実際には、アヒルの飼料に「紅薬」と呼ばれる薬を添加していた。地元の人は、こうした卵を「薬卵」と呼び、自分たちでは決して口にしていなかったという。
中国検験検疫科学研究院・食品安全研究所の検査で、「紅薬」は昨年大きな問題となった「スーダンレッド1」よりも、さらに毒性の強い毒性の強い発ガン物質である工業染料「スーダンレッド4」を、大量に含有することがわかった。
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2003年5月、フランスが、インドから輸入した乾燥粉末唐辛子にスーダンレッド1が混入していたとの情報をEUに送った。EU は直ちにEU内に出回っている唐辛子及び唐辛子含有製品の検査を開始した。
2005年2月、英国食品基準庁はハインツやユニリーバなど30社が生産した419種の食品に、スーダンレッド1が含まれている可能性があると消費者に警告し、含有が確認された359種の商品を回収した。
これを受けて中国の国家基準委員会は関連機関を緊急に組織し、国外の基準を参考にして検出方法を研究した。そして1カ月後、「スーダンレッド」の中国検出基準を制定した。
北京では「スーダンレッド1」が含まれた腐乳(豆腐を発酵させてから塩につけたもの)やザーサイ、トウガラシみそなど25種が販売中止となった。北京市内のケンタッキーフライドチキンでも、計5種類の商品からスーダンレッド1が検出された。
その後、中国各地でスーダンレッド1を含む製品が多数発見され、大問題となった。湖南省では漬物から「スーダンレッド4」が検出された。
日本の厚生労働省は2005年4月1日に食品安全部監視安全課が、「中国産加工食品の取扱いについて」と題して下記の通り報告している。
「スーダン*(着色料)については、一昨年、EUにおいてインド産食品への含有が発見されて以降、中国産食品を含め、輸入時検査を強化してきたところです。
今般、中国国内において、スーダンが含まれた加工食品が発見されたとの情報を入手したことから、念のため、着色料を使用している中国産加工食品について、スーダンが含有されていないことを確認するため自主検査の指導を行うこととし、その他の食品についてはモニタリング検査の強化を行うこととしましたのでお知らせします。
*スーダンとは、工業用油脂等に使用される赤色の色素。 」
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スーダンレッド1、2、3、4は赤色のタール系の工業用着色剤で、通常は、溶媒やオイルやワックスやガソリンや、床や靴の艶出し剤などへの着色に使われるもの。カテゴリー3レベルの発がん性があるものとされ、いずれも食品添加物としては認められていない。
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「京華時報」によると、「紅心鴨蛋」事件の発生源である河北省平山県は15日、5100羽以上の「問題アヒル」をすべて殺処分し、埋めた。また、同省井ケイ県は、県内すべてのガチョウの卵を現場で密封処理し、村外に販売されるニワトリの卵にも抜き取り検査をするとの新規則を打ち出した。
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