各社の中間決算がほぼ出揃った。別紙に化学、医薬専業に分けて、各社の前年上期及び当期の、連結売上高、営業損益、経常損益、当期損益を対比した。下記をクリックしてください。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/taihi-200609.htm
このうち、信越化学と武田薬品の損益が圧倒的である。
両社の中間決算については、下記参照。
2006/10/26 「信越化学 中間決算好調」
2006/11/9 「武田薬品の中間決算」
化学では多数の会社の損益が前年同期比を上回っているが、部門別には問題となるケースがある。
以下、主な会社の内容をみる。(単価は金額:百万円、配当:円)
グラフはクリックすると大きくなります。
住友化学
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | 配当 | ||||||
連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 中間 | 期末 | |
05/9中間 | 688,432 | 349,574 | 56,625 | 11,685 | 72,035 | 32,155 | 39,350 | 28,373 | 4.0 | |
06/9中間 | 854,621 | 425,773 | 68,214 | 19,214 | 75,920 | 36,922 | 53,283 | 56,783 | 5.0 | |
05/3 | 1,296,315 | 667,698 | 105,182 | 25,993 | 123,476 | 42,240 | 64,452 | 34,867 | 3.0 | 5.0 |
06/3 | 1,556,606 | 755,037 | 120,790 | 30,795 | 141,127 | 62,159 | 90,665 | 50,956 | 4.0 | 6.0 |
07/3予 | 1,785,000 | 880,000 | ー | ー | 150,000 | 69,000 | 91,000 | 78,000 | 5.0 | 5.0 |
石油化学の営業損益は原料価格の上昇の影響があり前年同期に比べ14 億円減少。
情報電子化学は値下がりで25億円減少。
逆に、農薬は49億円、医薬は76億円の増益となった。
子会社の住友製薬が2005年10月に大日本製薬と合併し、大日本住友製薬となっている。
同社の場合、説明がないが、日本経済新聞 2006/9/8によると、退職年金積み立て超過が612億円あり、3年間で業績に反映させるので本年度は200億円の増益要因になるとなっており、100億円程度の益が算入されていると思われる。
旭化成は退職給付会計における数理計算上の差異を2005年3月期に発生の翌期の1年間で営業費用として処理する方法を取ったが、2006年3月期の差額が236億円と多額になったため、2007年3月期からは10年償却に変更して影響を緩和している。
三菱レイヨンは退職給付会計における数理計算上の差異を、発生の翌期の1年間で営業費用として処理する方法を採用している。2005年9月中間では4億5千万円の損失だが、2006年9月期では71億円の利益と、大きな差が出ている。
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三菱ケミカルホールディングス
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | 配当 | ||||||
連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 中間 | 期末 | |
05/9中間 | 1,134,726 | 464,383 | 71,922 | 22,458 | 79,092 | 35,232 | 46,054 | 18,821 | 3.0 | |
06/9中間 | 1,263,457 | 22,275 | 56,640 | 21,187 | 64,531 | 21,115 | 61,945 | 42,896 | 7.0 | |
05/3 | 2,189,462 | 870,275 | 148,624 | 51,921 | 148,069 | 62,921 | 55,372 | 30,177 | 0.0 | 6.0 |
06/3 | 2,408,945 | 1,487 | 133,619 | 438 | 143,575 | 144 | 85,569 | 81 | 3.0 | 8.0 |
07/3予 | 2,600,000 | 36,800 | ー | ー | 135,000 | 33,800 | 98,000 | 55,700 | 7.0 | 7.0 |
2005/10/1、三菱化学と三菱ウェルファーマは株式移転により共同して完全親会社(共同持株会社)三菱ケミカルホールディングス(HD)を設立し、その傘下に入った。
2006/3から三菱ケミカルホールディングス
(連結決算は、三菱化学の中間期連結決算数値を引継いで作成、単独は2005/10からのHDのもので、売上高は「営業収益」で、受取配当+運営費用収入を示す。 )
配当は2005/9は三菱化学。2006/3以降はHD。三菱化学株主にはHD株を0.5株割当のため、実質的にはこの半分。
営業利益は、原料価格の上昇が販売価格の上昇を上回ったこともあり、前年同期比153 億円減少した。うち、石化は鹿島事業所のトラブル等の影響もあり、前年同期比86 億円減となっている。
なお、同社は棚卸資産の評価について総平均法をとっている。
上半期のようにナフサ価格が急上昇している場合、住友化学や三井化学のような後入先出法会社では当期の高いナフサ価格に基づく高い製品価格が原価となるが、同社の場合は前期末残の安い価格と平均されたものが原価となり、利益が多目に出る。
逆にナフサ価格が急落して、製品価格が下がっても、前期末の高いコストが反映されるため、下期はこの影響を受けることとなる。
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三井化学
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | 配当 | ||||||
連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 中間 | 期末 | |
05/9中間 | 693,624 | 396,654 | 23,329 | 12,422 | 24,173 | 19,252 | 17,215 | 445 | 4.0 | |
06/9中間 | 833,985 | 490,591 | 33,488 | 9,714 | 36,744 | 15,001 | 20,292 | 9,406 | 4.0 | |
05/3 | 1,227,547 | 833,525 | 80,491 | 42,872 | 79,737 | 44,612 | 26,192 | 6,306 | 3.0 | 4.0 |
06/3 | 1,472,435 | 852,955 | 58,705 | 25,552 | 61,989 | 34,246 | 44,125 | 14,967 | 4.0 | 4.0 |
07/3予 | 1,700,000 | 1,000,000 | ー | ー | 75,000 | 29,000 | 40,000 | 16,000 | 4.0 | 4.0 |
同社は本年度から、建物を除く有形固定資産について主として定率法によることに変更した。この変更により、従来と比較して、当期の減価償却費は59億円増加した。
石油化学の営業損益は定期修理のスキップもあり104 億円増となったが(前年同期が低すぎた)、合繊原料等の基礎化学品は91億円の減となった。
ウレタン原料等の機能樹脂はTDI市況の高止まり継続などで前期の2億円の赤字から61億円の黒字となった。
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東ソー
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | 配当 | ||||||
連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 連結 | 単独 | 中間 | 期末 | |
05/9中間 | 304,056 | 205,976 | 21,601 | 12,777 | 23,158 | 15,994 | 12,633 | 9,283 | 3.0 | |
06/9中間 | 374,700 | 255,254 | 22,531 | 11,692 | 23,131 | 14,881 | 11,480 | 8,334 | 3.0 | |
05/3 | 588,331 | 388,058 | 56,898 | 37,001 | 55,757 | 40,069 | 29,533 | 19,675 | 0.0 | 6.0 |
06/3 | 648,810 | 444,024 | 47,459 | 26,203 | 49,731 | 31,191 | 27,532 | 16,288 | 3.0 | 3.0 |
07/3予 | 780,000 | 525,000 | ー | ー | 50,000 | 31,000 | 24,000 | 18,000 | 3.0 | 3.0 |
石油化学の営業利益は固定費の増加により、前年同期に比べ962百万円減少した。
苛性ソーダ、VCM、PVC、セメントの基礎原料は前年同期に比べ2,781百万円の大幅減で、121百万円となっている。
(2005年3月期の中間決算は106億円の利益)
日本ポリウレタン工業及びその子会社を連結子会社化したことにより、ウレタン原料が新たに加わった機能商品事業は4,851百万円の増益となった。
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ライフサイエンス部門営業損益:
前年度 18,951百万円、前年同期 8,087百万円、当期 3,533百万円
これまで収益源であった機能性食品素材のコエンザイムQ10 が競合激化により売上高、採算ともに大幅に悪化し、減収、減益となった。
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同社はこれまで増益を続けてきたが、今期は減益となった。
基礎化学品(アクリル酸・アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、EG、EO・誘導品)は、需要は堅調に推移したが、市況が弱含みに推移したことや原料価格の高騰による収益圧迫の影響が大きかったため、前年中間期に比べて62.5%減少した。
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