中国、法人所得税率を統一、一律25%へ

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中国の国内企業と外資系企業とに対する所得税を一本化する法律の草案が24日、全国人民代表大会常務委員会に提出され、初めての審議が行われた。今後、来年3月に法律となり、2008年から施行される予定。

中国政府はこれまで、外資誘致による経済発展を図り、外資優遇策を取ってきた。法人所得税率は原則 33%だが、.外国企業の場合は、中央指定の開発区の場合は15%、地方指定の開発区の場合は24%となっている。更に外国企業には 「二免三減」制度があり、黒字化から2年間は免税、その後3年間は前記の税率が半分になっている。
24%または15%の優遇税率が適応されているのは、経済特区と一部の経済開発区の外資企業のみで、他の外資企業は税率33%。
中国企業でも利益の少ない小企業の場合は、地域・業種により18% or 27% の軽減税率が適用される)

更に輸出促進のため、輸出比率が7割超の外国企業の場合には「二免三減」後の税率は、中央指定の開発区では10%、地方指定の開発区の場合は12%に軽減されている。

現在の外国企業の法人所得税率
  黒字化から
2年間 
その後
3年間

以降  
中央指定の開発区   0%       7.5%  輸出比率7割超の企業など 10%
その他             15%
地方指定の開発区   0%   12% 輸出比率7割超の企業など 12%
その他             24%

これに対しては、特に中国のWTO加盟後は、厳しい競争にさらされる中国企業からは不公平であるとの声が強く出ている。
(他方、外国企業からは、国内企業は低利のローンや種々の恩典があるとの反論もある)

 

中国政府としては、依然として外国企業の進出を必要とするため、考慮の結果、今回の改正案を作成した。

改正案によると、今後は国内外企業に対する所得税率が一律25%に統一される。
財政部の金人慶部長は同委員会で、「25%の税率は国際的にみればちょうどよいか、やや低い水準に属し、中国税制の競争力を今後も維持し、海外企業の投資をより促進し、導入するのにプラスになる」と述べている。

このほか、以下の変更がある。

・外国企業の恩典は5年間は継続され、その後順次、なくしていく。
・輸出比率7割超の企業への恩典は廃止される。
  巨額の貿易黒字で欧米と頻繁に通商摩擦が起きており、輸出を奨励する意味が小さくなった。

・.国内企業はこれまで労務費のうち、1人当たり200$相当までしか損金算入を認めなかったが、今後は全額算入を認める。

・ハイテク企業には15%の軽減税率を適用する。
 (現在は中央指定のハイテクゾーンの企業にのみ、適用)
・また、
環境保護、節水、安全のための投資は税額控除の対象とする。

 

試算では、改正により、中国企業の法人所得税は、現在よりも年間168億ドル減少し、外国企業の法人所得税は51億ドル増加する。
中国では法人所得税は増価税(付加価値税)に次ぐ第2の税収で、2005年の総額は705億ドルとなっている。
関税と農業税を除いた2005年の全税収は、最高の3810億ドル)

財政部では、新しい企業所得税法の実施後は、外資系企業の所得税負担は全体としてはやや増えるが、外資も含めハイテク企業は規定に基づいて15%の優遇税率を受けることが可能であることや、これまで優遇措置を受けていた外資系企業には新税率適用に先立ち過渡的措置が取られることなどから、新法が外資系企業の経営に与える影響はそれほど大きくないものと予想している。

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なお、日本経済新聞(12/26)によると、中国政府は、中国に進出する外資系企業が本国へ所得を移すのを防ぐ「移転価格税制」の運用を強化している。

移転価格の根拠となる詳細なデータの提出を義務づける規定作りを進めるなど、移転価格税制の運用を厳格化する方向にあるが、広東省内の複数の外資系事務機関係者によると、同省税務担当者が「北京の国家税務総局の決定で、事務機業界の工場では5%未満の利益率は認められない」と主張し、過去にさかのぼって一方的に5%の見なし利益率による納税を求めているという。

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