Basell は22日、Ruhr Oel からドイツのMunchsmunster の342千トンのクラッカーを買収した。
Ruhr Oel は BPとベネズエラ国営石油会社PdVSA のJV。
1983年に当時のVeba Oel AG とPdVSA のJVとして設立された。
その後、Degussa がVeba を買収したが、2002年にDegussa 親会社のE.0n がVeba をBP に売却した。
Ruhr Oel は Gelsenkirchenに製油所と、Münchsmünster に石化プラントをもち(他に多くのJVも)、BPドイツ子会社のBP Refining & Petrochemicalsが運営を受託している。.
今回の取引の背景は以下の通り。
Basell は2005年に火災で爆発したHDPEプラントの代わりに、新しく2009年スタートでMunchsmunster に Hostalen Advanced Cascade Process で15万トン含みの12万トンのHDPEプラントを建設中で、原料エチレンの自社供給を希望し、更に、自社原料によるPPその他の製品の強化も狙っている。(現在は同地ではPEのみ製造)
他方、Ruhr Oel の株主のBPはオレフィン、ポリオレフィン事業の大部分を移管したInnoveneをIneos に売却しており、PdVSA も欧州ではこの分野では活動していない。このため、この事業に強い関心を持つ会社に売却するのがベターと判断した。
(BPは上海のShanghai Secco Petrochemical はinnoveneに移さず、持ち続けているが、これは石油会社のBPとの提携を強く希望する中国側の意向に沿ったもの。このほか、BPドイツはRuhr Oel のほかに、ドイツ国内にエチレンプラントを持っている。)
なおMunchsmunster は、南部エチレンパイプラインの建設により、欧州エチレンパイプライン の終点のLudwigshafen と結ばれる。
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Basell は2005年にAccess Industires がBASF/Shellから買収した。
オレフィン源であったBASF とShell から独立したBasell は、川上志向を取っており、欧州のPE事業の場合には85%以上のエチレンを自社で確保する希望を持っている。
同社はフランスのBerre に470千トン、 ドイツのWesseling に 1,043千トンのエチレンプラントを持っている。
Berreは 元親会社のShell の子会社 Shell Petrochimie Mediterranee との50/50 JVのSociete du Craqueur de l’Aubette であったが、Basell は Shell 持分買収の交渉を行い、2005年12月、Basell 100% とした。同時にBasell は同地のShell のブタジェン事業も買収している。
Basell はWesseling 工場の増強(280千トン)も計画している。
今回の取引で、Basell の欧州のエチレン能力(千トン)は以下の通りとなった。 フランス Berre
470
SHELLとの50/50JV → Basell 100% ドイツ Wesseling
1,043
ドイツ Munchsmunster
342
Ruhr Oel から買収 Basell 100%
なお、バゼルの売却と原料オレフィン問題について、「化学経済」 2006年12月号に、永尾経夫氏の「Basellの蹉跌と欧米化学企業のゆくえ」という論文が載っている。
化学経済の永尾経夫氏の論文を読みました。世界一の規模のBasellがうまくいかなかった背景をポリオレフィンのスプレッドと欧米会社のキャッシュフロー重視経営とみています。50/50の経営の難しさが、もちろん基本的にありますがね。今後のバセルの立ち直りが見ものです。投資会社は、どうする?どこかオレフィンまた買う?? ヘッドコーチ