(2006/12/15 「中国でMTO計画相次ぐ」で中国のMTO計画について説明した。)
国家発展改革委員会(NDRC)はこのほど、中国国有石炭最大手の神華集団によるでの MTO(Methanol to Olefin)計画を承認した。
社名 | 包頭神華石炭化学(Baotou Shenhua Coal Chemical Company) 神華集団 76%/上海華誼集団公司 24% |
立地 | 内蒙古自治区包頭市 |
原料 | 石炭 |
製品 | メタノール 180万トン(既着工) MTO 60万トン PE 30万トン PP 30万トン |
スタート | 2010年 |
投資額 | 15.5億ドル |
技術 | DMTO(Dimethyl Ether /Methanol to Olefin)技術 共同開発:Shaanxi Xinxing Coal Chemical SINOPEC Luoyang Engineering 中国科学院大連化学物理研究所 |
2005年8月に、神華集団が包頭市でのCoal-to-Olefins (CTO)計画の一次認可を受けた。
計画は石炭からメタノールを生産し、メタノールからオレフィンを生産するもので、能力は以下の通り。
火力発電 100MW
石炭ベースのメタノール 180万トン
メタノールからのオレフィン 60万トン
PE 30万トン
PP 30万トン
ブタン 94千トン ほか
同社は2005年10月に先ず、180万トンのCoal to Methanol 計画の承認を受け、建設を開始した。MTO計画については未承認のままで、とりあえず、UOP技術を導入する覚書を締結した。
当初のJV構想は、神華が51%、香港のKerry Group が25%、Baotou Tomorrow Technology Co (包頭明天科技)が24%であった。
Kerry Group は昨日の記事のマレーシアのパーム油企業のオーナーでマレーシア最大の華僑 Robert Kuok (郭鶴年)の会社である。
その後、Baotou Tomorrow Technology が撤退し、代わりに上海華誼集団公司が参加した。
2006年7月、政府は石炭化学産業を規制する通達を発表した。年間300万トン未満の石炭液化計画、年間100万トン未満の石炭からのメタノール又はDMT生産計画、年間60万トン未満の石炭からのオレフィン生産計画を承認しないとした。
2006/7/21 「中国政府、石炭化学を規制」参照
これと同時に、政府は国産技術の採用の行政指導をするとともに、これら事業への外国企業の投資を「望まない」意向を示した。
これに基づき、神華集団ではUOP 技術ではなく、今回の国産のDMTO技術を採用することとし、このたびの認可に至った。
また、政府の意向を受け、Kerry Group も離脱し、現在の出資比率となった。
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神華集団とダウは2004年10月に、共同で中国でのCoal-to-Olefin 事業実施のFSを行うと発表している。
両社は現在もFSを継続中で、情報筋の話ではダウは上記のDMTO技術を評価中という。
(ダウやShell、Sasol のような海外の大企業については政府も出資を認めるものと思われる)
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