三菱ガス化学、ベネズエラのメタノール合弁増設

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三菱ガス化学は22日、三菱商事とベネズエラの国営石油化学公社Pequivenとのメタノール合弁会社 Metanol de Oriente, METOR S.A.」(「メトール社」)で年産85万トンの第2期プラントを建設すると発表した。

約4億ドルの投資を行い、生産能力を現行の75万トンから160万トンに増強する。2010年第1四半期から商業運転を開始する予定。

現在の世界需要は年間約35百万トンだが、アジア地域、特に中国での需要拡大が見込まれており、今後も世界平均にして年率3%で伸びていくと見込んでいる。

(合弁会社の概要)
 会社名  Metanol de Oriente, METOR S.A.
 所在地  Jose, Etado Anzoategui, Venezuela
 出資比率  
 Pequiven  37.50%
 三菱ガス化学  23.75%
 三菱商事  23.75%
 Inversiones Polar S.A  10.00%
 International Finance Corporation   5.00%
 生産能力  第1期:日産 2,200トン(年産 750,000トン)
 第2期:日産 2,500トン(年産 850,000トン)
 
 生産技術  三菱(MGC/MHI)メタノールプロセス
  * MGCと三菱重工業が共同保有するプロセス技術

日本のメタノール業界は1970年代には共同生産会社の東日本メタノール(住友化学中心)と西日本メタノール(三井東圧中心)のほか、三菱ガス化学、三井東圧、協和ガス化学の5社体制であったが、石油ショックで競争力を失い、1983年には両センターが操業を停止、他社も相次ぎ停止した。
1995
7月に三菱ガス化学が最後のプラント・新潟工場を操業停止し、設備は中国の内蒙古・伊克昭盟化工集団総公司に売却した。

その後、三菱ガス化学は海外進出を狙い、ベネズエラでは競争力ある天然ガスをベースとして1994年からメタノール生産を行なった。
また、サウジでは1979年11月にSABICと合弁契約を締結し、80年2月に
AR-RAZI Saudi Methanol)を設立した。
2006/3/31 「サウジ・メタノール計画」 

その後、同社は中国重慶とブルネイへの進出を決めている。

同社の現状及び計画は以下の通り。(単位:千トン)

場所 現能力 計画能力  出資比率
中国重慶     850  MGC 51%/重慶化医49%
ベネズエラ   750   850  上記
ブルネイ     850  MGC 50%/伊藤忠 25%/Petroleum BURUNEI 25%
サウジ  3,300  1,700  日本・サウジアラビアメタノール㈱ 50% 
  (
MGC 47%/海外経済協力基金 30.0%ほか)
 
SABIC 50%
合計  4,050  4,250  総計 8,300千トン 

 

これに対し、最大手のカナダ Methanex の能力は875万トンとなっており、三菱ガス化学の計画の完成時(2008年から2010年)にはこれにほぼ並ぶこととなる。
(2006/12/22日経記事ではメタネックス能力 700万トンとなっているが、これはJVを除いた数字)

Methanexの能力は以下の通り。(単位:千トン)

工場 能力  備考
Canada Kitimat     0  2005/11停止
Trinidad Point Lisas   850  
Atlas Methanol  1,700  BP 36.9%/Methanex 63.1%
Chile Cabo Negro  3,800  4 plants
New Zealand Motunui and Waitara Valley  2,400  2 plants
合計    8,750  

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