EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金

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EUの欧州委員会は24日、電力用ガス絶縁開閉装置で国際カルテルを結んでいたとして日欧10社に7億5千万ユーロの制裁金支払いを命じた。日本企業は「欧州でほとんど売っていないのを理由に多額の制裁金を課せられる」という珍しいケースとなる。

ガス絶縁開閉装置は、しゃ断器、断路器、母線等をガスを封入した金属容器に収納して構成された開閉機器システムの総称。

少なくとも1988からカルテルを結んでいたとされる。各社が連絡をとりあって割当数量比率で受注できるよう調整し、最低価格を決めていた。また、日本企業は欧州で販売せず、欧州企業は日本で販売しないことも決めていた。

日本企業は欧州での販売実績はほとんどないが、上記の取り決めに従って欧州で応札せず、直接的に欧州での競争を制限したため、制裁金が課せられた。

スイスのABBが免責制度に基づき申告し、20045月に抜き打ち検査が行われ、調査が開始されたもの。

対象企業と制裁金の額は以下の通り。.(単位:千ユーロ)

  免責額 制裁金
Siemens(ドイツ)     396,563
Siemens(オーストリア)      22,050
ABB(スイス)  215,156       0
三菱電機     118,575
東芝      90,900
Alstom(フランス)      65,025
Areva(フランス)      53,550
日立製作所      51,750
Schneider(フランス)      8,100
富士電機システムズ      3,750
日本AEパワーシステムズ*      1,350
合計  215,156   750,713

* 富士電機システムズ、日立、明電舎のJV

欧州委員会では本件はECの独占禁止ルールの重大な違反であり、制裁金額は市場の大きさ、カルテル期間、関与した企業のサイズなどを勘案したとするが、詳細は明らかにしていない。
上記のうち、Siemens, AlstomAreva の3はカルテル主導社として制裁金が50%増しとなっている。
また、ABBは再犯のため制裁金が
50%となっているが、自主申告により全額免責となった。

三菱電機は「通知の内容を詳細に確認のうえ、裁判所への提訴も含めて対応を検討する」としている。
東芝も「当社は、欧州委員会の調査に協力して参りましたが、当社の調査では欧州競争法に違反する行為を行っておらず、欧州裁判所において今回の決定を争っていく方針」としている。

Siemensは「価格カルテルは2002/10~2004/4の短期間に2、3のプロジェクトであっただけで、1988年からのカルテルはない」としてカルテルの存在は認めるが小規模のものとし、「制裁金の額は無茶苦茶で、どうしてこんな額になるのか理解できない」として、欧州裁判所に訴えるとしている。

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欧州委員会の主張が事実なら、逆に日本では、日本企業は欧州に出ない代わりに欧州企業に販売させないことで、欧州企業は日本で販売しないことで、ともに日本での競争を制限していることとなる。

日本の公正取引委員会は、日本企業及び欧州企業に対して、どういう行動を取るのであろうか。

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