中国情報 (年末年初のニュースから)

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1.2007年の中国経済成長率、9.5%と予測

国家情報センターと社会科学院世界経済・政治研究所は12月28日、共同で「経済情報緑書」を発表した。
2007年の中国の経済成長率を2006年より減速した9.5%前後になる見込みと予測している。

投資と輸出の減速が見込まれる中で民間消費の急拡大も期待できないとして、2007年の成長率が8%台に低下すると見る向きもある。2006年は、経済成長率が10.4%と4年連続で二桁台に乗ると見られている。

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2.中国政府、シノペックに50億元支給

中国政府は国有石油大手、シノペックに対し、石油精製事業の赤字を補填するために50億元(約750億円)を支給した。

中国では政府が国内の石油製品価格を統制しており、精製部門は原油高を製品価格に一部しか転嫁できず赤字となっており、それを補填するもの。2006年の決算に折り込まれる。

シノペックは2005年は政府から94人民元もの補助金を受けたが、それでも35人民元の赤字となった。

なお、逆に石油採掘部門は原油値上がりで大きな利益を上げているため、中国政府は2006年3月26日から、石油採掘企業に対して特別収益金(Windfall-tax)を徴収することを決めた。一般には暴利税と呼ばれている。

2006/7/14 SINOPECの損益構造の変化」 参照

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3.北京五輪対策

北京市は1226日、2008年夏の北京五輪、同パラリンピック期間中の空気浄化計画を発表した。

五輪開会式(88日)の3週間前から、大気汚染防止策として、郊外の製鉄所や会場周辺の建築材料製造工場の操業を全面停止し、市の中心部などではすべての建設現場の工事を休止させる。
81日から20日までは市内の火力発電所、冶金や石油化学の工場からの汚染物質の排出を制限し、必要に応じ操業停止を命じる。

生産活動を強制的にストップしてでも、国家の威信をかけた五輪を成功に導く決意である。

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4.中国、工業用地値上げ 

中国政府は、投資過熱の原因の一つである地方の乱開発と耕地の減少に歯止めをかけるため、2007年1月から、地方当局が開発業者やメーカーに工業用地を払い下げる際の価格を引き上げる。売却時の最低価格を設定するとともに、地方が土地売却益の一部を国などに納める額も2倍に増やし、価格上昇を促す。今回の措置により、売却価格は40-60%高まるとみられている。

工場の乱立を防ぐとともに、農家への補償を増やし、社会不安を防ぐことも狙う。

また、2007/1/1から、これまで外資系企業には免除されていた土地利用税が外資系にも適用されるとともに、1988年に設定された税率が一挙に3倍になる。
新しい税率は、大都市では1m2当たり年間 1.5~30人民元(場所により異なる)、中都市で 1.2~24人民元、小都市で 0.9~18人民元となる。

 

5.最低賃金引き上げ

2006年だけで30近い省や直轄市が労働者に支払う最低賃金を引き上げた。
東北部の黒竜江省のように64%上げた地域もある。

第10期全国人民代表大会は12月24日、「修習勤労者」の最低賃金と修習期間の制限を骨子とする労働契約法案を審議した。
修習勤労者の賃金は当該企業勤労者のうち最低賃金または修習以後に受けると契約した賃金の80%以上でなければならず、修習期間も勤労契約期間に合わせて1~6カ月を過ぎないように規定した。
また修習中、雇用契約を解約する場合にはその理由を盛り込んだ証明書を提出するよう義務化した。

 

6.外資系企業の法人所得税の引き上げと移転価格税制運用の厳格化

 
2006/12/28 「中国、法人所得税率を統一、一律25%へ」 参照

 

韓国中央日報は、これらを受けて、「今後、外国企業が中国で事業することはますます難しくなりそうだ」としている。 

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7.自動車産業の構造調整

中国の自動車工業では生産能力過剰の兆候が出ており、更に進む可能性があることから、国家発展改革委員会は自動車工業の構造調整を加速するための実施意見書を発表した。

  同意見では、自動車工業の構造調整を加速するための6措置が提出された。
  (1)完成車生産の新規プロジェクトを抑制、投資参入条件を適宜厳しくする
    ①本拠地(本社)以外で工場を新設するには前年の販売実績が生産能力の8割以上
    ②第二工場を建設するには前年の販売実績が10万台以上ーーなどの条件。
  (2)省エネルギー型・環境保護型自動車と自主ブランド製品の発展を奨励する
  (3)自動車メーカーの合併・再編を推進する
  (4)部品工業の発展加速を支援する
  (5)生産能力に関する情報の監督・測定制度を構築する
  (6)国有自動車企業グループの業績に対する審査内容を完備する

 

2006年の中国の自動車輸出台数は34万台に達したとみられ、前年比で約100%増になる。このうち、乗用車の輸出台数は同200%増となる9万台余りと予想される。

中国政府は自動車産業を国の基幹産業として定めており、部品を含む自動車製品の輸出を重点発展分野として奨励している。商務部はこのほど、「中国の自動車と部品の輸出額を、現在の110億ドルから1200億ドルに引き上げなければならない」とのコメントを発表した。

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8.中国人民銀行、預金準備率を0.5%引き上げ、9.5%に

1月15日から実施する。
昨年3月に都市部の過剰投資が問題になってから4回目の引き上げで、0.5%引き上げで約2兆2700億円を吸収することとなる。

 

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