既報の通り、ロシアからベラルーシ経由の欧州への原油送油が停止し、欧州を巻き込んだ騒動となったが、事態の深刻化を受け、10日に両国大統領が電話で協議、その後ベラルーシ側が石油関税撤回を発表した。
ロシアのフラトコフ首相とベラルーシのシドルスキー首相は12日、モスクワで10時間の交渉の末、ロシア産石油輸出の協力に関する合意文書に署名した。欧州向け石油供給の一時停止にまで発展した問題は和解で正式決着した。
合意によれば、ロシアはベラルーシ向け原油の関税を当初の180ドル/トンから53ドル/トンに引き下げる。
ベラルーシは国際市価よりも安いロシアの原油を加工して製品を欧州に再輸出し利益を得ているが、この利益のうち本年は70%をロシアに還元する。2008年には80%、2009年には85%とする。(これにより、ロシアは10億ドル以上の収入を見込んでいる。)
ベラルーシは既に同国を通過するパイプラインでロシアが欧州に輸出する石油への45ドル/トンの関税案を撤回している。
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両国の関係は複雑である。
ロシアとベラルーシはこれまで友好国として、国境開放、貿易自由化を行っており、共通通貨使用の検討までしていた。
これまでベラルーシは国際価格の1/4の価格でロシアのエネルギーを無制限に利用していた。
ロシアはベラルーシが安いロシア原油を欧州に転売して儲けていると非難している。
最近になって、ロシアはベラルーシ経由で入る外国製品の管理を厳しくし、旧ソ連諸国へのエネルギー供給を国際価格で行う方針を取っている。
東欧の報道は、ベラルーシの45ドルの関税は実際にはパイプライン通過料であるとしている。リトアニアやラトビアは19ドル~20ドルの通過料を取っているが、ベラルーシの場合は1992年に両国が締結した自由貿易協定により、ほとんどゼロとなっているという。
ベラルーシにとっては、ロシアが原油に関税をかけたことにより、協定を破ったことになる。
これに加え、ロシアがベラルーシ向け天然ガス価格を引き上げたことに反発して、ベラルーシ側が対抗策を取ったもの。
両国には、この問題に加え、砂糖の関税問題がある。ベラルーシは生産する砂糖の約半分をロシアに輸出しているが、昨年12月にロシアが輸入関税を設定し、ベラルーシのメーカーは被害を受けているという。
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