中国、「今年の消費成長はやや減速」

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国家発展改革委員会(NDRC)研究院は13日、2007年の消費成長は減速するとした予測レポートを発表した。

中国の個人消費が経済に占める割合は1991年の48.8%から、昨年は史上最低の水準38.2%まで落ち込んでいる。
NDRCは、現在の消費問題は今年、さらに目立ってくると予測し、「中国の70%以上の商品は供給過剰であり、需要が供給を上回るような商品は無い。供給過剰という問題は明らかで、今年はこの矛盾がさらに悪化するだろう」
としている。

2006/8/8 杉本信行著 「大地の咆哮 元上海総領事が見た中国」で、杉本氏は以下のように述べている。

消費の伸びが減速したのは98年以降であるが、農民の収入が急減したことに加え、都市部においても朱鎔基内閣が国有企業の住宅保障制度の廃止や、医療保険などの社会保障機能を分離し、3年以内に再就職できない余剰人員をリストラするなどの大胆な経済改革を推進したため、国民の将来に対する不安が一挙に高まり、国民の貯蓄率は46%まで高まった

日本同様、年金制度は実質破綻状態に陥っており、遠くない将来、1人が8人の面倒を見なければならないという試算もあるほどで、そのため、将来の不安から、貧困者のみならず一般の給与所得者の間でも消費を控える傾向が強まっている。

NDRCは最近の消費拡大の重要な障害として、住民の教育費・医療費支出の増加を挙げている。中国の教育費と(幼稚園などの)保育費は、1998~2002年までのわずか5年間で112.1%上昇しており、医療・保健サービス価格も年平均10%以上の成長を続けているという。

 

杉本氏はまた、次のように述べている。

任期5年の党大会のサイクルの中で結論を出す必要に迫られている指導者たちにとり、5年間で成果をあげるために一番てっとり早いのは、工場や住宅建設を中心とする固定資産投資を積極的に行うことにより経済成長率を上げることで、経済成長率を高めることが、国家レベルから地方レベルまでの各指導者の至上命題となり、その達成度が評価基準になった。消費が伸びなくてアンバランスであろうが、固定資産投資を伸ばせば一定の成績を上げられることから、彼らはそうした政策に走らざるを得なかった。

現在の中国の高成長は設備投資が中心である。それらが完成した時点では需要と供給のギャップは更に広がることとなる。


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