2007/1/11 「GEがGEプラスチックスを売却か?」 参照
(追加情報 2007/1/16 「インドの Reliance Industries」)
GEは18日に米医薬大手のアボット・ラボラトリーズの診断機器部門の一部を81億3千万ドルで買収すると発表した。
今年に入り、GEは先ず8日にJPモルガン・パートナーズなどの投資ファンドから、原油・ガス採掘関連機器のVetco Gray を19億ドルで買収すると発表した。同社の2006年の売上高は16億ドルで、従業員は30カ国以上で5000人。
石油・ガス産業でのGEの存在を拡大するもので、インフラストラクチャー部門の強化となる。
更に15日には自動車・航空部品大手の英スミス・グループの航空宇宙部門Smiths Aerospace を48億ドルで買収することも決めた。
この買収はGE Aviation 部門の民間機及び軍用機用エンジンに、Smith の飛行管理システムその他を加えることにより、この分野での活動を高める効果がある。
今回GEが買収するのは、アボットの診断事業のうち試験管を使った血液検査機器など( in vitro diagnostics businesses and Abbott Point-of-Care diagnostics business )。
アボットの糖尿病治療ビジネス(Diabetes Care business)やエイズ検査に使う分子診断薬(Molecular Diagnostics business)などは含まれない。
今回の買収は、アボットの診断事業とGEの情報技術を組み合わせることにより、早期検診→発症前の病気発見→病気予防という、新しい "early health" model をつくるという GE Healthcare部門の戦略に大いに役に立つとしている。
この3つの買収で、今月だけで総額約150億ドルの買収となる。
検討中のGEプラスチック売却は、これらの買収費用に充当するとともに、事業構造を一気に変えることとなる。
同社は1月19日に第4四半期結果を発表したが、その中でプラスチックス事業の処分を検討していることを正式に明らかにした。
発表のなかで、GEのJeff Immelt 会長兼CEOは次のように述べている。
「我々はleadership businessへの投資戦略を継続して実行する。我々の狙いはより速い成長、より高い利益である。
本年に入り、原油・ガス、ヘルスケア、航空という成長プラットフォームでの150億ドルの買収を発表した。
逆に成長が遅く、変動の激しい事業からの撤退を続ける。現在、プラスチック事業の処分を検討中である」
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General Electric(GE)の源は、発明家トーマス・エジソンが設立したEdison Electric Light Companyで、1892年、Edison General Electric Company とThomson-Houston Electric Companyが合併してGEが誕生した。
GEはダウ・ジョーンズ工業株平均株価が1896年に導入された当時指標銘柄に選ばれた会社の中で、現在もリストされている唯一の企業。
GEの現在の事業ポートフォリオと売上高、損益の推移は以下の通り。
(部門別損益は税引前、金利控除前。連結損益は税引き後)
事業ポートフォリオ
コンシューマー・ファイナンス: | クレジットカード、パーソナルローンなどの個人向け金融 | |
コマーシャル・ファイナンス | 機器・自動車リース、不動産などの法人向け金融 | |
NBCユニバーサル | 放送、エンターテイメントなど、子会社にUniversal Pictures | |
: | ヘルスケア | 医療用画像診断装置、ライフサイエンスなど |
インダストリアル | 高機能プラスチックス(売却検討)、シリコーン(2006年売却)、クオーツ等の素材、セキュリティやセンサー、家電、照明、FAシステムなど | |
インフラストラクチャー | エネルギー関連機器、航空機エンジン、水質浄化システム等 |
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