カタール石油 と ExxonMobil は21日、建設費高騰のためGTLプラントの建設を取り止めることを決めた。当初の予算70億ドルのうち、プロセスガスを製品化するための設備の建設費は50億ドルであったが、これが180億ドルにまで上昇している。
中東の石化ブームで建設費は異常に高騰しているが、原油価格の下落による収益性低下もこの判断の要素の一つになっていると思われる。
カタール政府と ExxonMobil は2004年7月、カタールのRas Laffan Industrial Cityに70億ドルを投じて1系列としては世界最大の日産154千バレルのGas-to-Liquid (GTL) を建設する基本覚書を締結した。
基本覚書には開発及び生産物分与契約(DPSA)があり、期間は2011年予定の生産開始から25年で、投資コストはExxonMobil が100%負担する。
GTLは天然ガスからつくるガソリンや灯油などの液体燃料で、計画ではExxonMobil のAGC-21 GTL技術を採用し、製品の半分はサルファーフリー(10-15 ppm 以下)のディーゼル、20%は高品質の潤滑油、残りはナフサ等となっていた。
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カタール石油と ExxonMobil は代わりに ガス田開発を行う方針で、カタール石油は ExxonMobil に対して、世界最大のNorthガス田のなかの Barzanガス田開発を提案している。同ガス田は2012年に15億立方フィートのガスを産出する予定。
なおカタール政府は、他の計画には変更なく、シェルとのGTL計画は22日に鍬入れ式を行うとしている。
カタール石油とShellは2004年7月に Pearl GTL 計画の開発及び生産物分与契約を締結した。
同計画は上流のガス生産設備と日産140千バレルのGTL設備から成っており、第1段階として2009年に70千バレルを生産、第2段階は2年後の完成を予定している。
シェルはこのほか、 Ras Laffan Cityでの大規模LNG計画(Qatargas 4)の覚書も締結している。
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ExxonMobil とシェルは、それぞれ、カタールでの石油化学計画も検討している。
ExxonMobil とカタール石油は昨年10月、Ras Laffan Industrial City に30億ドルのワールドスケールの石化コンプレックス建設を検討する基本合意書を締結した。130万トンのエタンクラッカーとPE、EGを含む誘導品を含むもので、2012年スタートを目指している。
シェルとカタール石油も2006年2月に、Ras Laffan Industrial Cityでワールドスケールのエタンクラッカーと誘導品のコンプレックス建設の覚書を締結している。
参考 2006/6/1 「湾岸諸国の石油化学ー2 カタール」
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