旭化成ケミカルズでは、子会社の韓国・東西石油化学で世界で初めてのプロパン法アクリロニトリル(AN)の実証及び商業運転を開始したと発表した。
プロパン法ANの製造技術は、同社が独自開発したプロパンから直接ANを製造する技術で、東西石油化学の2系列のうち70千トン設備を改造し、1月20日にスタートさせた。
日本のアクリロニトリル業界については 2006/5/19 「アクリロニトリル業界」参照
東西石油化学は韓国・蔚山にあり、旭化成100%子会社。
当初は米国スケーリー石油 50%/韓国忠州肥料 50%のJVであったが、その後、旭化成 と韓一合繊がそれぞれ肩代わりし、1998年に旭化成100%となった。
2000年に200千トン設備を新設して古い60千トンを休止、現在は70千トンと新設分(その後手直しで230千トン)の合計で300千トン能力。
他に青化ソーダ40千トン、アクリルアマイド10千トン、エチレンジアミンテトラ酢酸 3千トンをもっている。
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旭化成グループは、昨年作成した中期経営計画「Growth Action - 2010」においてANを戦略的拡大事業と位置付け、需要拡大が見込まれるアジア市場を中心としたグローバル市場において積極的に拡大していく方針。
参考 http://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/ir/plan/060307_plan.pdf
プロパン法採用で、原料調達に新たな選択肢を加えることになり、事業の基盤強化に繋げるとともに競争力あるAN生産を実現する。
同社は2006年2月に、タイのPTT Public Company Limited との間で、アクリロニトリル(AN)とMMAおよびPMMAのタイにおける共同事業化の詳細検討を開始したと発表した。
PTTが供給するプロパンを原料に年産20万トンのANを製造し、ここから副生する青酸を原料にACH法でMMAモノマー7万トンを生産、更に25千トンのPMMAを生産する計画。いずれも2009年末に稼動の予定。
これが完成すると、旭化成ケミカルズとして関係会社含みで約100万トン/年の能力規模となり、世界最大手のIneos Nitriles(旧BP Chemicals)と同等の規模を確立する。
* 水島 250千トン、川崎 150千トン、東西石油化学 300千トン、これに米国ソルーシア社からの製品引取権 50千トンを含め合計750千トンで、タイが加わると95万トンとなる。
なお、両社は、AN、MMA以外の事業、製品、技術についても、提携、共同事業化の可能性について広範な視点で検討することとし、そのための協議をスタートしている。
*MMA業界については2006/4/13「MMA事業の拡大」参照
有機合成の人たちにとって、C-N結合はつくりづらいようですね・・・ちょっと“業界の話題”からは外れますが。