三井物産がサウジアラビアの石化事業に参加する。8日の日本経済新聞が報じた。
1989年に撤退したイラン・ジャパン石油化学(IJPC)以来の中東での大型事業となる。
2006/3/27 「イラン・ジャパン石油化学(IJPC)の歴史」参照
参加するのは、サウジの財閥系企業アルザミール・グループが設立した石化企業サウジ・インターナショナル・ペトロケミカル(Sipchem)が計画している事業。
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2006/5/13 「サウジの民間ポリオレフィン計画」 で Tasneeの石化事業の中でエチレン・プロピレン計画を挙げている。
立地:Al-Jubail
出資:Tasnee Petrochemicals
Sahara Petrochemical (the Al-Zamil Group )
Saudi International Petrochemical Co. (Sipchem)
製品:エチレン 1,000千トン
プロピレン 200千トン
2006年11月19日の発表で、上記エチレン計画がSipchemにより行われることが発表された。
立地:Al-Jubail
製品:エチレン130万トン、プロピレン
誘導品としてHDPE、LDPE、PP、EVA(合計80万トン)
更に下流の付加価値製品を計画する。
20のワールドスケール・プラント
原料:エタン(サウディアラムコとの間で原料供給の約束)
完成:2011年完成予定
投資:70億ドル以上
従業員:3000人以上
Project Management Contract を米国のWorley Parsonsと契約、Financial Advisory に 英国のHSBC を指名した。
この発表の中でも、パートナーとして、三井物産、デュポン、ルーサイト(MMAメーカー:旧称 Ineos Acrylics)と交渉中としていた。
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報道では三井物産は誘導品事業を分担し、数百億円を負担する。
Al-Zamil Group については「サウジの民間ポリオレフィン計画」参照。
Sipchem はAl-Zamil Group が 11% 出資し、運営に当たっている。主な株主は下記の通りで、サウジ(KSA)のほか、クエート、バーレン、UAEの企業が参加している。
IDB Infrastructure Fund (Bahrain) Sara Development Co. Ltd. H.A. Al-Zamil & Bros. Co.(KSA) Ali M. A. Al-Rajhi (KSA) National Industries Group (Kuwait) Al-Tammimi Co. (KSA) Olayan Financing Co.(KSA) Al-Jabr Trading Co.(KSA) Al-Ghurair Investment Co. (UAE) Abdulaziz S. Al-Muqern (KSA) Dubai Investment (UAE) Abdulaziz A. Al-Ghurair (UAE) Abdulrahman A. Al-Turki(KSA) Abdulaziz A. S. Al-Hamdan (KSA) The Arab Investment Co.(KSA) Mohamed A. Al-Ghurair (UAE) Hamoud A. H. Al-Athel (KSA)
Sipchemは既にメタノール(100万トン)とブタンジオール(75千トン)を生産しており、酢酸(460千トン)と酢ビモノマープラント(300千トン)を建設中で、第3期のオレフィンと誘導品が完成すれば、中東の最大の石化メーカーの一つとなる。
* ブタンジオールは子会社 Gulf Advanced Chemical Industries (GACIC) が生産。
2006/3/31 「サウジ・メタノール計画」参照
2006/12/1 「Celanese、サウジの酢酸メーカーを訴訟」 参照
なお、三井物産は三菱商事、ダイセル、飯野海運とともに、このサウジで3番目のメタノール製造会社に参加し、三井物産が生産量の約80%を引き取っている。
JV名:International Methanol company
出資 :Saudi International petrochemical 65%
Japan-Arabia Methanol Co.* 35%
*JAMC 三井物産 55%
三菱商事 15%
ダイセル 15%
飯野海運 15%
能力:1,000千トン
生産開始:2004/11
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参考
住友化学の進出 2006/3/25 「ペトロラービグ起工式」参照
三菱化学の進出 2006/4/1 「SHARQ (Eastern Petrochemical) の歴史」 参照
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