旭硝子は2月5日、決算を発表した。
売上高、営業損益、経常損益は連結、単独ともに前年を上回ったが、特別損益として1000億円の赤字を計上し、連結当期損益は25%の減益、単独では赤字となった。
配当は前年の年15円から16円に増配した。
対比表 単位:百万円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益については、ガラス、電子・ディスプレイは前年を上回ったが、化学は大幅減益となった。
営業損益推移 億円 | ||||||||||||||||||||||||||||
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化学:
クロールアルカリ・ウレタン:
業績は低調に推移
特に塩ビ関連製品において、エチレン価格高騰の一方で、
製品市況の回復が弱く、コストアップを十分に価格転嫁出来ず
フッ素化学・スペシャリティ:
フッ素樹脂、フッ素樹脂フィルム、液晶材料等の出荷は堅調に推移したが、
クロールアルカリ・ウレタンの落ち込みを補うには至らず
全体として好業績のガラス、電子・ディスプレイも、大きな問題を抱えている。
ガラス:
北米における板ガラス市場は、住宅用ガラスが大きな割合を占めているため住宅市場の減速の影響を強く受け、供給過多の状況が続いている。また、天然ガスなどの原燃材料費高騰によるコスト上昇のため、採算は悪化している。
(2007/1/23 「ニュースのその後、米国住宅着工件数」参照)
電子・ディスプレイ:
CRTが想定以上に需要落ち込みのペースが速く、想定以上のスピードでFPD(フラットパネル・ディスプレイ)にシフトしている。
これらの問題に対処するため、同社では構造改善策として1000億円の特別損失を計上した。
CRT構造改善:
2006年下期以降、改善テンポを速めて生産集約化し、2007年3月末にはピーク時の40%まで能力を削減した。
その上で売却可能資産を除いて固定資産残高はほぼゼロにし、460億円の特別損失を計上した。
残る拠点についても、コストミニマム化・最適受注を図るとともに、継続的に事業縮小を検討する。
ガラス構造改善:
北米事業全体の再構築を推進した。
板ガラス部門では不採算のシナミンソン工場を閉鎖、自動車ガラス部門ではS&Bでメキシコ工場を閉鎖した。
その上で米国子会社のAFGインダストリーズの暖簾代400億円を減損処理した。
特別損益 億円 | ||||||||||||||||||||||||||||
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2007年度は営業利益率10%以上達成を目標に下記の施策を行う。
・ディスプレイ事業
TFT用ガラスに1000億円以上投資
CRT事業の収益改善
・ガラス事業
新興市場で3基の新フロート窯の稼働を計画
・北米地域
北米事業の収益改善
・E&E事業
エレクトロニクス&エネルギー(E&E)事業の本格的立ち上げ
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