NOVA Chemicals、北米のSM、PS事業をINEOSとのJVに移管

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NOVA ChemicalsとINEOS は22日、NOVAの北米のSM、PS事業を両社の欧州の50/50JVのNOVA Innovene に移管することで合意したと発表した。今後手続きを経て、第3四半期に拡大JVが発足する。

移管するのはNOVAの子会社STYRENIXで、テキサスとカナダのオンタリオにあるSM事業、米国とカナダのPS事業のほか、PS系のポリマーのNASR) Styrene Methylmethacrylate copolymer)ZYLARR)(NASの 耐衝撃性改質グレード)、DYLARKR) スチレン-無水マレイン酸共重合体)を含む。

現在の能力は以下の通り。(単位:千トン)

  SM PS
Montréal, Quebec, Canada     55
Sarnia, Ontario, Canada   432  
Bayport, Texas, USA   568  
Belpre, Ohio, USA    145*
Channelview, Texas, USA   182#  
Chesapeake, Virginia, USA (閉鎖)    136*
Decatur, Alabama, USA    193
Monaca, Pennsylvania, USA    198*
Painesville, Ohio, USA     39
Indian Orchard, Massachusetts, USA    150*
合計  1,182  916

 * は特殊品を含む。
 # は持分(今回の移管の対象外)

ーーー

NOVAのCEOは以前から、「米国のスチレン業界は設備を廃棄し、統合を検討し、赤字垂れ流しを止めるために動き出す必要がある」と述べており、2006年1月にはバージニア州のチェサピーク工場を閉鎖すると発表し、6月にStyrenix事業部を別会社にすると発表した。

NOVAは事業を「エチレン & PE」、「発泡PS & 機能製品」、及び「Styrenix」の3つに区分しているが、Styrenixはコア事業ではなく、将来、売却するか、スピンオフすると見られていた。
  2006/7/27 「
欧米でもPS事業は苦境」 

StyrenixのEBITDA(税引前利益+支払利息+減価償却費)は赤字となっている。(単位:百万ドル)

  2005 2006
SM   -61   -17
PS   -18   -39
Nova Innovene   -64   -18
Styrenix   -143   -74

米国ではダウも基礎部門の中のポリスチレン(とポリプロピレン)について分社化して他社とのJVにすることを検討していると発表している。(その後、基礎部門全体のJV化の噂も)
 2007/2/3 「ダウ、PSとPP事業のJV化を検討」  
 2007/3/19 「Dow JV 

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NOVA Innovene2005年にNOVAが欧州のPS事業を出してBPとの50/50JVとして設立したその後、BPが分離したInnoveneをIneosが買収した。

現在のNOVA Innoveneの能力は以下の通り。(千トン)

  PS EPS
Breda (オランダ)   90   90
Marl (ドイツ)  180   85
Ribecourt (フランス)  -   90
Trelleborg (スウェーデン)   85  -
Wingles (フランス)  185   85
合計  540  350

2006年にフランスBerreのEPS(65千トン)を閉鎖、また2002年10月以降停止していた英国 CarringtonのEPS(75千トン)を閉鎖
2007/2 EPS能力をデボトルで合計410千トンに増やすことを発表

 

今回の移管により新しいNOVA Innovene の北米、欧州、全世界でのシェアは以下の通りとなる。

  North America Europe Global
Styrene No.1 No.5
Solid Polystyrene No.1 No.2 No.2
Expandable Polystyrene No.1 No.4

INEOSは欧州のSM事業(工場はドイツのMarl )をJVには出さず自社で運営している。
INEOSは米国のTexas City にもSMプラントを所有している。
NOVAの発泡PS事業は「Styrenix」ではなく、「発泡PS & 機能製品」部門に属しており、JVには出さず自社で運営する。

 

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