住友ベークライトはこのたび、スイスの熱硬化性樹脂メーカー Neopreg AG を買収した。
同社は繊維強化熱硬化性樹脂のメーカーで、繊維強化ポリイミド成形材料 Kinel、繊維強化エポキシ成形材料 Neonite を製造販売している。
住友ベークライトは同社を、2005年にスウェーデンのPerstorp AB から買収したベルギーの熱硬化性樹脂成形材料メーカーのVyncolit N.V. に統合するが、Neopreg の名称は存続させる。
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住友ベークライトは、最初のプラスチックの「ベークライト」を日本で最初につくった会社である。
2006/2/15 「プラスチック100周年」 参照
住友ベークライトは米国オキシデンタルとの合弁で世界各地でフェノール樹脂事業を行っていたが、2000年9月、オキシデンタルから同事業全体を1億5千万ドルで買収した。これにより、買収後の生産能力はフェノール成形材料67千トン、フェノールレジン112千トンとなり、世界シェアはそれぞれ25%、11%となった。
会社 | 工場所在地 | 買収対象 | 事業内容 | 製品 |
デュレズ事業部 | オハイオ ニューヨーク オンタリオ |
100%事業・株式 | 生産・販売 | フェノールレジン成形材料 |
ヨーロッパ法人 | ゲンク・ベルギー | 100%株式 | 同上 | フェノールレジン他 |
スミデュレズ カナダ | オンタリオ | 50%持分 | 生産 | 高機能フェノール成形材料 |
スミデュレズ アメリカ | - | 50%持分 | 販売 | - |
スミデュレズ シンガポール | シンガポール | 25%株式 | 生産・販売 | フェノール成形材料 |
住友デュレズ | 静岡 | 25%株式 | 生産 | フェノールレジン |
OXYSIM技術 | - | 半導体テープ用レジン技術 |
* 住友デュレズは2001年4月1日付で吸収合併した。
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同社は2003年8月に、フェノール樹脂事業のうち摩擦材用レジンを主力製品とするスペインのFers Resin SA社およびその関連会社を買収した。コア事業のフェノール樹脂事業の重点用途である摩擦材用レジンのグローバル展開を促進するのが目的。
買収したのは販売会社 Fers Resin SA、製造会社 Fenocast SA、及び両社が保有する子会社3社。
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同社は2005年、スウェーデンのPerstorp AB から子会社のVyncolit N.V.(ベルギー)とVyncolit North America, Inc.(米国)の全株式を約 114億円で買収した。
住友ベークライトはフェノール樹脂関連事業について、日本、米国、東南アジア、中国、欧州の5大市場に拠点を有しているが、戦略用途である自動車分野で米国や欧州には、これまでフェノール樹脂(レジン)拠点を持つのみで、フェノール樹脂成形材料の拠点は持っていなかった。
Vyncolit N.V. はベルギーに拠点を持ち、欧州における自動車部品用フェノール樹脂成形材料の分野で需要家から信頼を得ている。
この買収により同社は、フェノール樹脂関連事業で 日本、米国、東南アジア、中国、欧州の5大消費マーケットに、8ヶ国16拠点を持つことになった。
今回、スイスのNeopreg AGが加わることとなる。
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