欧州委員会は14日、板ガラスで価格カルテルを結び競争を制限した疑いで、板ガラスメーカーにStatement of Objection(異議告知書)を送付した。
「異議告知書」とは、EU独禁法違反の疑いに関する当局の暫定的な見解を示し、当事者の意見を求めるもの。
会社側は2ヶ月以内に反論を提出できる。
委員会は会社側の反論を聞いた上で、最終決定を行う。
価格カルテルと判定されれば、各社は最大で年間の世界売上高の10%分に相当する制裁全を科せられる可能性がある。
欧州委員会はメーカー名を明らかにしていないが、欧州板硝子協会(GEPVP)のメンバーは旭硝子のベルギー子会社Glaverbel SA、日本板硝子の英子会社Pilkington PLC と仏Saint-Gobain 及び各社の子会社である。
旭硝子と日本板硝子は同日、欧州委から文書を受け取ったと発表、Saint-Gobain は立ち入り検査を受けたことを発表している。
欧州委は2005年2月にベルギー、フランス、ドイツ、英国、スウェーデン、イタリーの板ガラスと自動車用ガラスのメーカーに予告なしの立ち入り検査を行った。(スウェーデン企業は板ガラスのみ、イタリー企業は自動車用ガラスのみ)
欧州委は、板ガラスについては値上げと「Energy Surcharge」の導入の共謀、自動車用ガラスについては需要家配分と供給制限・価格の合意があったと信じる理由があるとしている。
同委では Leniency program (自首申告制度)による情報提供を受けているとしている。
今回は板ガラス関係のみで、自動車用ガラスについてはなお調査中としている。今後、自動車用ガラスについても同様の処理がなされる可能性がある。
両社コメント
旭硝子:当社及びグラバーベル社は、本異議告知書の内容を確認した上で、適切な対応をとる所存です。
日本板硝子:ピルキントン社では、当該告知書の詳細について精査中であります。手続きに更に進展があり、委員会による正式決定まで、本件についてさらなるコメントは差し控えます。
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Glaverbel SA:
本社:ベルギー ブラッセル市
工場:ベルギー、オランダ、チェコ、フランス、イタリア、スペイン、ロシア
品目:フロート板ガラス、複層ガラス、自動車用ガラス、鏡等
設立:1961年(1981年旭硝子資本参加、2002年12月100%子会社)
Pilkington PLC:
本社:英国 St Helens
工場:世界24カ国
品目:建材用板ガラス、自動車用強化ガラス、放射線遮へい用板ガラスほか
(世界で最初にガラスの大量生産を始めた会社)
設立:1826 年(2006年6月 日本板硝子子会社化)
* 欧州板硝子協会(GEPVP)のメンバーは以下の通りで、全て3社とそれらの子会社
ベルギー:Glaverbel、Saint-Gobain Glass SaintRoch
フランス:Glaverbel France、Saint-Gobain Vitrage
ドイツ:Pilkington Flachglas、Vegla (Saint-Gobain)
英国:Pilkington
スウェーデン:Pilkington Floatglas
イタリー:Pilkington、Glaverbel Italia、Saint-Gobain Vetro Italia
オーストリア:Eomag (Pilkington)、フィンランド:Lahdenlasitedas (Pilkington)、
オランダ:Maasglas (Glaverbel)、ポルトガル:Covina (Saint-Gobain)、
スペイン:Cristaleria Espana (Saint-Gobain)
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