Dowは18日、リビアの国営石油会社(NOC)とJVを設立し、NOCのRas Lanuf コンプレックスの石化コンプレックスを拡張・運営すると発表した。
リビアは最近、外国の技術、資本を導入する方針を立てており、ダウがリビアの石化事業に参加する最初のグローバルな化学会社となる。
JVに包含するのはRas Lanuf のナフサクラッカー(エチレン 330千トン)とLLDPE(80千トン)、HDPE(80千トン)とインフラ設備で、今後、エタンクラッカーとPE、PP、及びその他の樹脂、化学品プラントを建設する。
Ras Lanuf コンプレックスは地中海沿岸にあり、1980年代に建設された。
LPG 106千トン、ナフサ 1,811千トン、ケロシン 525千トン、ナフサクラッカーではエチレン 330千トン、プロピレン 170千トン、C4 130千トン、分解ガソリン 325千トンの能力を持つ。
ダウは既報の通り、石油化学事業については "Asset light" strategy に基づき、JV方式で行うこととしている。
同社ではこの投資は石油化学等のダウンストリームを拡大することにより国内経済を多様化しようとするリビア政府の経済政策に沿うものであるとし、地中海沿岸という立地と競争力のある原料は魅力があるものであるとしている。
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リビアは1951年12月、リビア連邦王国として独立したが、1969年9月にカダフィ大尉(当時)によるクーデターで、リビア・アラブ共和国に改称、1977年に人民主権確立宣言(ジャマーヒリーヤ宣言)を発表し、現在の「大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国」(The Great Socialist People's Libyan Arab Jamahiriya)となった。
リビアは反欧米・反イスラエルのアラブ最強硬派の国家で、1970年代や1980年代には欧米やイスラエルで数々のテロを引き起こし、「テロ国家」と非難された。また核兵器の開発も秘密裏に進めた。
1984年のロンドンのリビア大使館内からデモ隊に銃を発射した事件でイギリスはリビアとの国交を断絶した。
1985年にはイタリアの客船をリビア人がシージャック、同年トランスワールド航空機のハイジャックなどが発生、米国はこれらの一連のテロがリビアの政府の支援で行われていたと断定し、リビア空爆を行うとともに、1986年1月、対リビア経済制裁措置を発表した。
米国の石油企業は1986年以降、同国での活動を停止したが、ConocoPhillips、Amerada Hess、Marathon、Occidental はリビア国営石油会社(NOC)と現状維持(standstill)契約を締結し、各社の権益は没収されることなく保全され、操業・メンテナンスはNOC系企業が実施した。
1988年のパンナム機爆破事件により、1992年に国連安保理で対リビア制裁決議、1993年に対リビア制裁強化決議が採択された。
しかし、湾岸戦争の後、リビアは国際社会での孤立状態に終止符を打つため、西側に対し次々と和解策を提示した。
2002年8月に国内のアルカイダ関係者を拘束、2003年8月に1988年のパンナム機爆破事件について、責任を認め、賠償金27億ドルの支払いを表明した。
これを受け、2003年9月に国連安保理は対リビア制裁の解除を発表した。
2003年12月、米英政府との9ヶ月にわたる交渉の結果、リビアが大量破壊兵器(WMD)の開発計画の廃棄を約束し,国際機関による即時・無条件の査察受け入れに合意した。
この結果、米国はリビアを「テロ支援国家」指定から外し、その後、2006年5月にアメリカはリビアとの国交正常化を発表した。
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