米連邦最高裁、温室効果ガス規制で政府に促す判決

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米連邦最高裁は2日、EPAに自動車からの二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出規制を強く促す判決を下した。判事9人のうち5人が規制に賛成、4人が反対した。
  判決文 
http://www.supremecourtus.gov/opinions/06pdf/05-1120.pdf

地球温暖化が人間の活動の影響とする科学的根拠はないとし、規制は米国経済に害を与えるとして反対しているブッシュ政権に打撃となる。

「マサチュセッツ州 vs 連邦EPA」と呼ばれる裁判で、12の州や環境団体がEPAに対して Clean Air Act に基づきCO2等の排出規制をするべきだと訴えていたもので、米国最高裁は昨年6月末に、CO2に関する温室効果ガス規制問題を最も重要な環境問題の一つであるとし、審議することを決めた。

 2006/7/8 温暖化問題で米国最高裁が審議 

Clean Air Actは「大気汚染物質」の新車からの排出をEPAが規制するよう定めている。

原告側は「地球温暖化をもたらすCO2は同法の規制対象」と主張。
これに対して、EPAは
▽CO2は大気汚染物質ではない
▽同法は地球温暖化に対処する強制的な規制権眼を同庁に与えていない
▽温室効果ガスと地球の気温上昇の因果関係は確立されておらず、規制は妥当ではないーーなどと反論していた。

最高裁の多数意見を代表したJohn Paul Stevens 判事は判決で、CO2を含む温室効果ガスは同法が規定する大気汚染物質に該当し、EPAは規制権限を持つとの判断を示した。
EPAが規制を望まないのなら、これまでのような無効な理由ではなく、きちんとした理由を挙げるべきだとしている。
さらに、EPAが排出規制を拒否したためマサチュセッツ州に「現実に、また差し迫った
('actual' and 'imminent') 害の危険性が生じていると指摘した。
EPAは温室効果ガス規制の権限がないとする理由をなんら示しておらず、EPAが規制をしないのは恣意的であり、法に基づく行為でないとしている。

他の3人とともに反対票を示したJohn G. Roberts Jr. 最高裁長官は、「反対したのは地球温暖化の存在、その原因、問題の重大性などの判断によるものではなく、仮に地球温暖化が危機であり差し迫ったものであったとしても、この種の問題は裁判所よりも議会や政府が扱う問題と考えるからである」と述べた。
しかし、多数意見とは異なり、原告は地球温暖化と実際の被害の相互関係を明らかにしていないとし、例として、マサチュセッツ州が温暖化による海面上昇で次第に海岸線の領域を失っているというのは、単なる憶測に過ぎないとした。

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