中東の石化計画、建設費アップが重大問題に

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中東の石化諸計画が、建設費アップの影響を受け、難航している。


SaudiAramco昨年7月10日、サウジ東部のラスタヌラで計画している世界規模の石化・プラスチック・コンプレックスのパートナー候補に Dowを選定し、独占的に交渉すると発表した。

世界最大規模の
SaudiAramcoラスタヌラの55万バレル/日の製油所と一体化して建設するもので、計画の詳細は明らかにされていないが、一部報道によれば120万トンのエチレン、40万トンのプロピレン、40万トンのベンゼン、46万トンのパラキシレンのほか、ベンゼン、パラキシレン、アクリロニトリル、ABS、SBR、PTA などを生産するとされる。(135万トンのエチレン、90万トンのプロピレン、100万トンの芳香族とする報道もある。)
 2006/7/18 「アラムコの新石油化学計画」 

2012年の第2四半期スタートを目指し、予定では本年初めにもMOUに調印することになっていたが、いつになるのか明らかにされていない。

業界筋では当初100億ドルとみていた建設費は、Dowが候補に選ばれた昨年7月には150億ドルと予想したが、現在では220億ドルと見ている。

今のところ、AramcoDow も、「交渉は順調で、計画に期待している」としているが、実現性について懸念が生じている。

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中東の建設費は各国政府が石油価格高騰で増えた収入でインフラ整備や新規の大事業計画を進めた結果、業者・機器・建設労働者の不足をきたし、結果として建設費が大幅に上昇している。

Aramcoと住友化学のPetro-Rabigh計画も最初は43億ドルの予定であったが、建設費が高騰し(電力・工業用水建設費の融資などの範囲拡大もあって)、85億ドルに上昇した。
 
2006/3/25  「ペトロラービグ起工式 

フランスのTotal の会長は先週、イランのSouth Pars油田でのガス採掘計画が建設費アップにより瀬戸際に来ていると述べている。

Qatarの石油相も建設費高騰で石油・石化計画を進められないとしている。
Kuwait で計画中の日産 615千バレルの製油所計画も60億ドルの予定が150億ドルを超え、再検討を余儀なくされている。

2月にはカタール石油 ExxonMobil が建設費高騰のためGTLプラントの建設を取り止めることを決めた。当初の予算70億ドルのうち、プロセスガスを製品化するための設備の建設費は50億ドルであったが、これが180億ドルにまで上昇している。
 
2006/2/27 ExxonMobil、カタールのGTL計画取り止め」 

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