ニュースのその後 米国住宅着工件数、低迷続く

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米商務部が17日発表した3月の住宅着工件数(季節調節済み)は、事前予想(1,490千戸前後)を上回り、年率換算で1,518千戸で前月比0.8%増となった。
(米国では毎月、前2ヶ月の数字を見直す。1月は1,399千戸、2月は1,506千戸と見直された)

米国の住宅着工件数は2000年以降、毎年上昇し、2005年は2,068千戸となった。
しかし、2006年1月の年率2,265千戸をピークに急下降し、2006年計では1,801千戸となり、本年1月には1,393千戸まで下がった。
(本年1-3月平均は1,474千戸)

2月、3月とやや好転し、最悪期を脱したのではと見る向きもあるが、住宅在庫は高水準で価格は下落しており、調整が長引く恐れがある。
中古住宅販売が予想外に伸びを示しているのに対し、最近の新築住宅販売は落ち込んでいる。

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住宅販売の不振を受け、サブプライム向け住宅ローン会社の破綻が続いたが、最近はサブプライムよりも上のクラスの「オルトA」でもローンの延滞率が上昇している。

米国の住宅ローンは借り手の信用度に応じて、プライム、オルトA(Alternative A)、サブプライムの格付けがある。
サブプライムの借り手は、過去12ヶ月以内の支払い遅延や、24ヶ月以内の住居の差し押さえ、収入に対しての過度の債務など
、何らかの問題を抱えたクレジットの信用が低い借り手を指す。ローン会社は、担保となる住宅価格の上昇を前提としている為、借り手の十分な審査をしないまま、借り手に非常に有利な条件のローンを提供して来た。

他方、富裕層は住宅の値上がり益の確保のため、居住目的ではなく転売目的で住宅を購入してきた。

要はローン貸し手も借り手も住宅の値上がりを前提にしており、これまでの住宅産業の好調は将にバブルである。
一旦需要が落ち込み、値下がりが起こると、転売で損が出るし、ローンの返済不能で住宅を差し押さえても回収不能となる。
オルトAでの延滞率上昇はバブル破綻が更に進んでいることを示している。

住宅産業の不振が米国経済全体の不振につながることが懸念される。

参考  これまでの関連記事

  2006/3/3   日本の塩ビ事業 住宅着工件数とPVC需要の関連 
  2006/11/18   米国住宅着工件数、続落  
  2007/1/23   ニュースのその後、米国住宅着工件数 
  2007/2/19   速報 1月の米国住宅着工件数 

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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

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