三菱ガス化学は12日、ブルネイ・ダルサラーム国バンダル・スリ・ブガワンでのメタノール事業実施の最終決定を行ったことを発表した。
ブルネイで年産85万トンのメタノールを生産し、日本を含むアジア市場に輸出することを目的としている。
同社は伊藤忠商事と共同で、ブルネイ政府が公募していた天然ガスからのダウンストリーム計画に対しメタノールプロジェクトとして応募し、2004年9月に最終交渉相手に選抜された。
その後、両社と現地のBrunei National Petroleum Company (PetroleumBRUNEI )は、合弁会社、天然ガス供給、メタノール販売及びメタノールプラントの運営に必要となる諸設備・ユーティリティーなど主要な条件についてFSを行ない、2005年11月、3社はメタノール製造会社の設立に関する合弁契約を締結した。
今回、合弁事業に関する諸条件が確定したことから、投資の最終決定に至った。
(合弁事業の概要)
1. 社名 Brunei Methanol Company
2. 出資比率 MGC:50%
PB Petrochemical (PetroulemBRUNEIの関連会社):25%
伊藤忠: 25%
3. 生産能力 年産850,000トン
4. 生産技術 三菱(MGC/MHI)メタノールプロセス
(MGCと三菱重工業株式会社が共同保有するプロセス技術)
5. 事業立地 ブルネイ・ダルサラーム国スンガイ・リアング工業地区(地図参照)
6. 天然ガス供給者 Brunei Shell Petroleum Company Sdn Bhd(BSP)
7. 製品引取権者 MGC
8. 建設完了時期 2009年第4四半期
9.商業生産開始 2010年第2四半期
建設資金は約4億ドルで、国際協力銀行を中心とするプロジェクトファイナンスによる資金調達を行う予定。
Brunei Darussalam 国は15世紀初頭に初代スルタン、モハマッドがブルネイ王国の基を確立、1906年に英国の保護国となった。
1984年に完全独立した。立憲君主制をとっている。
1984年1月8日にASEANに加盟した。
三菱ガス化学のメタノール事業は以下の通り。(単位:千トン)
場所 | 現能力 | 計画能力 | 出資比率 |
中国重慶 | 850 | MGC 51%/重慶化医49% 2006/7/21 「中国政府、石炭化学を規制」 参照 | |
ベネズエラ | ① 750 | ② 850 | 2006/12/27 「三菱ガス化学、ベネズエラのメタノール合弁増設」 |
ブルネイ | 850 | 本件 | |
サウジ | 3,300 | 1,700 | 2006/3/31 「サウジ・メタノール計画」 |
合計 | 4,050 | 4,250 | 総計 8,300千トン |
日本のメタノール産業は、1970年代には東西の共同生産会社(東日本メタノール、西日本メタノール)、三菱ガス化学、三井東圧化学、協和ガス化学の5社体制であったが、安値海外品流入で相次ぎ操業停止、1995年7月に最後の国産メーカー・三菱ガス化学が新潟の 264千トンを操業停止し、設備は中国内蒙古の伊克昭盟化工集団総公司に売却した。
なお、サウジアラビアには日本側 35%出資のInternational Methanol Company がある。
設立:2002年
立地:Al-Jubail
能力:100万トン
出資:Saudi International Petrochemical 65%
三井物産 20%
三菱商事 5%
ダイセル化学 5%
飯野海運 5% 出資
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