antidumpingpublishing.com というページで、毎年、世界のアンチ・ダンピング調査の実施状況をまとめて発表している。
分析しているのはCliff Stevenson で、ホームページによると、20年の経験を有する専門家とのこと。
4月2日に2007年版(2006年の分析)が発表された。
http://www.antidumpingpublishing.com/uploaded/documents/CSDocuments/GTP%202007.pdf
1.件数
アンチ・ダンピング調査開始の件数の推移は以下の通り
(ある国が5カ国から輸入のある製品で調査を開始すれば5件と計算)
最近減っているが、今後も減り続けると考えると間違うとのコメントがついている。
(景気循環との関係もある)
2.アンチ・ダンピング調査 実施国
これまでの12年間ではインド、米国、EUが多い。
昨年は米国は激減。インド、EUは相変わらず多く、アルゼンチンがこれに次いでいる。
3.アンチ・ダンピング調査 被害国
これまでは中国とEUが主な対象国であった。
しかし、EUはこの2年間は件数が大幅に減ったのに対し、中国は大幅に増加している。
中国は全体の件数のうち、2005年は29.8%、2006年は37.4%を占める。
EUの件数減少の理由は不明だが、EUが慎重なやり方をとっているのも一因だろうとしている。
4.対象製品
化学品と金属製品がこれまでも、昨年も大きな比重を占めている。
化学品はこれまでも、昨年も30%程度を占める。金属製品の比重は最近はやや減少している。
化学品も金属製品もこの数年は件数は減っている。
この報告の筆者は景気循環との関係を挙げ、これら分野の製品は汎用品が多く、価格が景気により上下するのが影響していると分析している。
(景気が悪くなると、価格が下がり、アンチ・ダンピング件数は増えるだろうと。)
なお、この報告の筆者は、今後は繊維や農産物について、アンチ・ダンピングのケースが増えるだろうとみている。
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日本の化学業界から見ると、中国がこれまで日本の化学品について、軒並にアンチ・ダンピング調査を行っており、ひどい国だとの感があるが、全体としてみると、中国が実施した件数は少なく、逆に中国が対象となった件数が異常に多い。
また、中国のアンチ・ダンピング調査は化学品が多いが、これも全体の傾向と一致している。
なお、中国のアンチ・ダンピング調査の一覧表は下記参照。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/japan/china.htm#ichiran
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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm
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