経済産業省は4月13日、例年の通り、「世界の石油化学製品の今後の需給動向について」を発表した。
4月19日には詳細資料を報告本文とともにホームページで公開した。
http://www.meti.go.jp/policy/chemistry/main/sekkajyukyuudoukou_copy(1).html
今回は下記の見直しを行った。
(1)中国におけるPVC需給の算出方式の変更
○ 昨年度版
2005~2010年のPVC生産の半分がアセチレンカーバイト法による生産であると仮定
過去の実績分については、全てエチレン法による生産とみなして算出
○ 今年度版
PVC生産に要するエチレン消費量を、
EDC生産に要するエチレン消費量(エチレン換算値:0.29)と
EDCからVCMを生産する際に要するエチレン消費量(エチレン換算値:0.2)に分けて計算
(アセチレンカーバイト法由来のPVCの生産量はエチレン消費から除外)
過去に遡及して再計算。
PVC需給の算出方式の変更による中国における生産・需要の比較(エチレン換算)
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 生産 平成18年度版 464 539 672 686 914 993 1,172 平成17年度版 795 942 1,075 1,439 1,624 1,973 2,436 需要 平成18年度版 1,043 1,187 1,385 1,647 1,771 1,863 1,981 平成17年度版 1,373 1,590 1,788 2,399 2,480 2,843 3,245
(2)その他の国も過去に遡ったデータの見直し
(3)結果
2004年の世界全体の実績値では、昨年度版と比べて、
エチレン換算で生産量約130万トン、
需要量約160万トンの下方修正
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報告のまとめ
(1) 世界のエチレン系誘導品の需要
○ | 2005年の世界のエチレン系誘導品需要実績(エチレン換算)は、原油や石油製品価格の高騰や米国のハリケーンなどの影響により、104.1百万トンで前年比+1.4%にとどまった。 |
○ | 2006年以降は、世界全体で安定的な経済成長が達成されることを前提に、各国・地域ごとの需要見通しを積み上げると、2005~2011年の世界全体の需要の伸びは年平均+4.1%、2011年の需要量は132.7百万トン(2005年比で+28.7百万トン)となる見通し。 |
○ | 需要の伸びは地域別に傾向が異なり、アジア地域が年平均+5.1%程度。中国の需要増が大きく、中国1ヶ国のみで、2005年から2011年までの間に8.8百万トンの需要増。一方、北中南米は年平均+3.5%、西欧は年平均+2.2%の安定成長で推移する見通し。 |
○ | 日本における需要は、2005年の実績5.7百万トン、2006年の実績5.8百万トンに対し、一定程度の経済成長を見込みつつも、製品輸入の拡大、ユーザーの海外移転の動き等を考慮し、2011年は5.5百万トンと見込まれる。 |
(2) 世界のエチレン系誘導品の生産能力 | |
○ | 世界のエチレン系誘導品の生産能力(エチレン換算)は、2005年末時点で121.3百万トン。現時点において2011年までに稼働する可能性の高い生産能力新増設計画に基づくと、2011年末の生産能力は158.4百万トン(2005年比で+37.1百万トン)で、年平均+4.6%で増加する見通し。 |
○ | 2005~2011年の地域ごとの生産能力年平均伸び率は、アジアが+6.7%、北中南米が+0.7%、西欧が+0.8%、中東が+15.6%。特に中東及び中国における大幅な能力増加が見込まれる。 |
○ | また、原料であるエチレン(モノマー)の生産能力は、2005年末の117.1百万トンから、2011年末に155.1百万トンに増加する見通し(年平均伸び率+4.8%)。 |
(3) 世界のエチレン系誘導品需給バランス | |
○ | 現時点において2011年までに稼働する可能性の高い生産能力新増設計画に基づくと、中国における供給は増加するが、需要については引き続き増加するもののPVCにおけるアセチレンカーバイト法等の製造による影響もあり、供給を上回るペースでの増加が見込まれないことから、中国のエチレン系誘導品の輸入超過は拡大せず、2011年は9.6百万トン程度と見込まれる。アジア全体では4.8百万トンの輸入ポジションとなり、現在の水準とほぼ変わらないことが見込まれる。 |
○ | 一方で、中東における輸出超幅はさらに拡大し、2011年には16.6百万トンに達する。 |
中東の出超幅はLDPE、HDPE、EGといったエチレン原単位が高い製品で大幅に拡大し、アジアの入超幅の拡大を上回る見込み。 | |
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問題はやはり、中国の需要の見方である。
PVCのエチレン消費量は見直しにより減少(是正)するが、PVCを含め、各製品の需要は従来通り、右肩上がりに上昇している。
2006/2/21 「中国バブル説」で以下の通り述べた。
将来は別としてこの数年をとってみると、(農村の)10億人の需要を当てにすることはできない。
仮に三大エリアの3億人が日本並み、残り10億人がフィリッピン並みに消費するとすれば、中国の需要は2,000万トンにしかならず、本年にも頭打ちとなることとなる。
(PVC原料の見直しで中国のエチレン換算需要は2007年で19,124千トンに減っている)
仮に、中国の需要が2,000万トンで頭打ちとすると、2011年には能力と均衡し、生産との差は報告の960万トンではなく、350万トンに過ぎないこととなる。
主要製品の中国の需給は以下の通り。
需要が仮に本年並みとすると、ほとんどの製品で間もなく輸入はなくなり、塩ビ等のいくつかの製品では輸出が増えるであろう。
これらの原料を使った製品が内需ではなく輸出用に使われる場合(例えばPTA)は、原料の中国での消費は増え続けるが、最終製品の輸出先での樹脂等の需要が減ることとなる。
中国の需要が頭打ちになると、最も影響を受けるのは、韓国と台湾である。(グラフの生産と需要の差が輸出となる)
両国からの日本への攻勢が強まる恐れがある。
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下記資料は、METI の製品別原資料を、国別(能力・生産・需要)に分かり易く組み替えたものです。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/meti2007/meti2007.xls
なお、各製品別の需要・供給、製品別・国地域別需給のグラフはChemnet Tokyo(有料サイト)にあります。
http://www.chem-t.com/link/graph/oil/
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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm
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